はじめに:ルイジアナという文化の交差点
ミシシッピ川の河口に広がるルイジアナ州は、フランス、スペイン、アフリカ、そして先住民族の文化が幾重にも重なり合った、アメリカでも類を見ない歴史を持つ土地です。
そんなルイジアナの歴史に関わる言葉の中に、アルファベットの「Q」を含む単語はあるのでしょうか。この記事では、州を象徴する言葉「ピローグ」を中心に、その答えを探っていきます。
ルイジアナを象徴する舟「ピローグ(pirogue)」
ルイジアナの歴史を語るうえで欠かせない言葉のひとつが「ピローグ(pirogue)」です。ピローグとは、細長いカヌーのような形状の小舟のこと。
もともとは先住民族が川や湿地での移動手段として用いていたもので、18世紀以降にこの地へ入ってきたフランス系入植者たちにも受け継がれました。
水路が縦横に走るルイジアナにおいて、ピローグは日常の交通手段であると同時に、漁や狩猟に欠かせない道具でもありました。
ベイユ(bayou)と呼ばれる沼沢地の水路を音もなく滑っていく小舟の姿は、現代のルイジアナを代表する風景のひとつとなっています。
意外な事実:「pirogue」の綴りに「q」は含まれない
ここで少し立ち止まってみたいのが、表記の問題です。実は「ピローグ」の英語・フランス語での綴り「pirogue」には、アルファベットの「q」は含まれていません。
では、「q」を含むルイジアナゆかりの言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。
本当に「Q」を含む、ルイジアナゆかりの言葉たち
バンケット(banquette)
ニューオーリンズの旧市街で見られる、家の前に細長く盛られた歩道のこと。フランス語に由来するこの言葉は、フレンチクォーターの街並みとともに今日まで受け継がれています。
コキーユ(coquille)
「貝殻」を意味するフランス語。ホタテ貝をグラタン風に仕上げるニューオーリンズの名物料理「コキーユ・サン・ジャック」などにその名を残しています。
マルキ(marquis)/ジャック(Jacques)
フランス統治時代の貴族の称号や人名として、ルイジアナの歴史資料にたびたび登場する言葉です。
クイットマン(Quitman)
州北部ジャクソン教区にある町の名前。ミシシッピ州知事を務めたジョン・A・クイットマンにちなんで名付けられました。
まとめ
ルイジアナの歴史を代表する言葉「ピローグ」は、その綴りに「q」を含まないものの、先住民族とフランス系入植者の暮らしを今に伝える、州の水辺文化の象徴です。
一方で、「バンケット」「コキーユ」「マルキ」のように、実際に「q」を含むフランス語由来の言葉も数多く残されています。
こうした言葉のひとつひとつに、植民地時代から続くルイジアナ独自の歴史と文化の足跡が刻まれているのです。