1780年アメリカのファッション概観
1780年のアメリカにおけるファッションは、独立戦争と、それとともに形成されつつあった新しい国家アイデンティティに大きく影響されていました。当時のスタイルは、フランスやイギリスといったヨーロッパの流行と、戦時下にある国の実用的なニーズが融合したものでした。
全体的な傾向:簡素さと実用性の時代へ
全体として、1780年の服装は、前の数十年間の華やかで装飾的なスタイルに比べると、よりくつろいだカジュアルなものへと変化していました。シンプルで機能的な衣服が好まれるようになり、これは新共和国で根付きつつあった民主主義の理想や平等主義の精神を反映するものでした。
女性のファッション
人気のシルエット「シュミーズ・ドレス」
女性の間で人気を集めていたのは、「シュミーズ・ドレス(chemise gown)」あるいは「ラウンド・ドレス(round gown)」と呼ばれる、ハイウエストでゆったりとしたワンピースでした。このスタイルは、胸元の下でギャザーやプリーツを寄せたビスチエが特徴で、ふんわりとしたブラウスのような印象を生み出します。腰にはサッシュやベルトを結ぶことも多く、スカートはボリュームたっぷりで、繊細なプリーツやギャザーが施されていました。
インナーウェアと防寒対策
ドレスの下には、体形を美しく見せるためのコルセットやステイズ(stays)を着用し、スカートにボリュームを加えるためにペチコートも重ねていました。寒い季節には、腰丈までの短くフィットしたジャケットである「スペンサー(spencer)」を羽織ることもありました。
アクセサリーの楽しみ方
アクセサリーもおしゃれの重要な要素でした。女性は髪を覆うためにレースのキャップや帽子を身につけ、保温のためにはショールやケープを羽織りました。ネックレス、イヤリング、ブローチなどの宝石類も人気があり、扇子は単なる実用品としてだけでなく、ファッションの主張として持ち歩かれていました。
男性のファッション
基本となる服装
男性の一般的な服装は、膝の少し下までの長さのブリーチーズ(半ズボン)やトラウザーズでした。素材は季節や着用者の社会的階級に応じて、ウール、綿、麻などが使われるのが一般的でした。シャツの上にはベスト(ウェストコート)を合わせ、寒い時期には上着を重ねて暖を取っていました。
小物と帽子で差をつける
首に巻く長い布である「クラバット(cravat)」は、当時の男性にとって欠かせない人気のアクセサリーでした。帽子としては、格式高い三角帽(トリコーン・ハット)や、よりカジュアルな丸帽が好まれました。さらに、ファッションアイテムとして杖やウォーキングスティックを携帯する紳士も多くいました。
まとめ
総じて、1780年のアメリカのファッションは、シンプルさ・実用性・優雅さが絶妙に混ざり合ったものが特徴でした。それは、誕生したばかりの若い国家ならではの状況と価値観を色濃く反映した、時代ならではのスタイルと言えるでしょう。