1929年に発行されたアメリカの10セント硬貨「マーキュリーダイム」(正式名称:ウィングド・リバティ・ヘッド・ダイム)の価値は、保存状態(グレード)やミントマークによって大きく異なります。この記事では、状態別のおおよその相場と、価値を見極めるためのポイントをわかりやすく解説します。
まず確認:「1929-W」ダイムは実在するのか
実は、1929年に「W(ウェストポイント)」ミントマーク付きで鋳造されたダイムは存在しません。ウェストポイント造幣局が流通用のダイムを製造したのは1996年が初めてです。硬貨の表面に見える「W」や「AW」の文字はミントマークではなく、デザイナーであるアドルフ・A・ワインマンのイニシャル(モノグラム)である点に注意しましょう。
1929年のマーキュリーダイムは、次の3つの造幣局で鋳造されています。
- フィラデルフィア造幣局(ミントマークなし)
- デンバー造幣局(D)
- サンフランシスコ造幣局(S)
状態別のおおよその価値相場
一般的な市場価格の目安は以下の通りです(市場動向により変動します)。
- Good〜Fine:約3〜10ドル
- Very Fine:約10〜20ドル
- Extremely Fine:約20〜40ドル
- Uncirculated(未使用):約50〜150ドル以上
特にMS65以上のハイグレード品や、D・Sミントマーク付きの未使用品は、さらに高値がつくことがあります。
レア度とキーデートについて
1929年はマーキュリーダイムの中では比較的一般的な年号で、大量に鋳造されたため、通常の状態であれば高額になることは少ないです。ただし、以下のようなケースでは価値が大幅に上がります。
- エラー品(オーバーデート、ダブルダイなど)
- フルバンド(Full Bands:裏面の束帯の線が完全に打たれている状態)
- 鑑定機関で高いグレードを取得した希少なミントマーク品
参考までに、マーキュリーダイム最大のキーデートである「1916-D」は、摩耗した状態でも数千ドルの価値があると言われています。
正確な価値を知るには専門鑑定を
硬貨の正確な価値と真贋を判断するには、PCGS(Professional Coin Grading Service)やNGC(Numismatic Guaranty Company)といった信頼できる鑑定機関によるグレーディングを受けるのが確実です。また、自己判断でのクリーニングはかえって価値を下げる原因となるため、避けるようにしましょう。