第二次世界大戦の勃発において資本主義がどのような役割を果たしたのかについては、歴史家の間でも明確な合意が存在していません。資本主義が戦争への道を大きく左右したとする見方がある一方で、その影響は限定的である、あるいはほとんど無関係だったとする立場も有力です。
資本主義が重要な役割を果たしたとする論
帝国主義的な膨張
資本主義経済は原材料の確保と新たな市場の開拓を常に必要とします。この需要がヨーロッパ列強間の競争を激化させ、植民地や勢力圏をめぐる対立が深まり、国際的な緊張と紛争の火種となったという指摘です。
経済ナショナリズムの台頭
各国が経済的な自給自足を目指すなかで、関税引き上げをはじめとする貿易障壁が次々と設けられました。その結果として世界的な景気後退が深刻化し、国家間の緊張がさらに高まったとされます。
ファシズムの台頭
世界大恐慌は広範囲にわたる経済的苦境を生み出しました。この混乱を背景に、イタリア、ドイツ、日本ではファシズム的・軍国主義的な政権が台頭し、攻撃的な膨張主義政策を推し進めたことが、戦争への直接的な一歩につながったという論点です。
資本主義の役割は限定的だとする論
構造的要因の重視
第二次世界大戦の起源は、ヴェルサイユ条約がもたらした過酷な条件、ナショナリズムの高揚、そして国際連盟の機能不全といった構造的な要因によってこそ説明できるとする考え方です。経済体制そのものよりも、戦後秩序の失敗に重きを置く立場です。
大恐慌は資本主義固有の現象ではない
世界大恐慌は資本主義諸国だけが経験したものではなく、異なる経済体制を持つ国々にも同様の打撃をもたらしました。したがって、恐慌を資本主義に特有の欠陥と結びつけることには無理がある、という指摘です。
ファシズムは思想的・政治的な産物
ファシズムの台頭は、経済的要因よりもむしろ、過激なナショナリズム、反ユダヤ主義、共産主義への恐怖といった政治的・思想的要因によって主導されたとする見方です。つまり、イデオロギーこそが決定的な動力だったという主張です。
まとめ:単一の原因では語れない複合的な悲劇
資本主義が第二次世界大戦へ至る状況の形成に一定の寄与をした可能性は否定できません。しかし、この問題は本質的に複雑であり、単一の原因に還元できるものではありません。戦争の起源は政治・経済・社会・思想など多方面にわたる要因が絡み合った結果であり、それぞれの要因の相対的な重要性については、今日なお歴史学における活発な議論が続いています。