スペインによるラテンアメリカ支配の時代、植民地社会で最も強大な権力を握っていたグループはペニンスラール(peninsulares)と呼ばれる人々でした。彼らはスペイン本国で生まれ、大西洋を渡って新大陸の植民地に赴任した白人エリート層です。
ペニンスラールが握った特権
ペニンスラールは植民地政府や軍隊の最高位の役職を独占していました。総督、判事、高級将校といった要職はほぼすべて彼らの手にあり、政治・軍事の両面で絶対的な支配力を誇りました。
さらに経済面でも圧倒的な影響力を持っていました。鉱山や大農園(アシエンダ)を含む広大な土地の多くを所有し、貿易や課税の権限も掌握していたため、植民地の富の大部分が彼らのもとに集中しました。
クリオージョとの格差
ペニンスラールに対置される存在がクリオージョ(creoles)です。クリオージョとは、スペイン人の血を引きながらも、植民地で生まれた人々を指します。血統的にはヨーロッパ系白人でしたが、「本国生まれではない」という理由だけで差別されました。
- 高位の官職や軍の要職への就任が制限された
- 土地所有など経済活動にも不利な扱いを受けた
- 社会的には常にペニンスラールの下に位置づけられた
固定化された身分制社会
このような序列は、ペニンスラール、クリオージョ、メスティーソ(混血)、先住民、そして奴隷とされたアフリカ系の人々へと続く、厳格な身分ヒエラルキーの頂点にありました。出生地によって人生の可能性が決められるこの仕組みは、後にクリオージョたちの不満を呼び、19世紀初頭のラテンアメリカ独立運動の重要な背景となったのです。