1777年、ニューヨーク州議会は新しい州章(seal)を選定するためのコンテストを実施しました。ピエール・ウジェーヌ・デュ・シミティエール、エズラ・スタイルズ、ジョン・ジェイの3名がそれぞれ案を提出しましたが、審査を担当した合同委員会の反対意見により、どの案も採用されることはありませんでした。
承認されたデザインのないまま採択された1777年憲法
こうして州章として承認されたデザインがないまま、1777年のニューヨーク州ニューヨーク州憲法が正式に採択されました。この憲法は、その後5年以内に州知事職と二院制議会を確立するとともに、新しい州章の制定をも求める内容でした。そこで1784年3月、州議会は州章をデザインするための合同委員会を改めて設置しました。
合衆国の国璽をモデルにした新デザイン
委員会は、他州で使われているさまざまな主権の象徴や、「国民の精神」を表すために広く用いられるシンボルを検討しました。その結果、力・強さ・勇気の象徴であるハクトウワシが、平和と安全を表す盾の上にとまって描かれた、合衆国の新しい国璽(great seal)をモデルに採用しました。さらに、一旦は却下されたシミティエール案とジェイ案の要素も取り入れています。
1784年3月21日、州議会が正式採択
1784年3月、委員会は新しい州章のデザインを記した報告書を作成しました。この報告書は同年3月21日に州議会で採択され、以来200年以上にわたり、州章のデザインは本質的に変わらずに受け継がれています。
盾に描かれた象徴の意味
州章の中心をなす盾には、いくつかの重要な要素が含まれています。
帆船とハドソン川: 右下(見る人から見て左側)には、イギリス領ニューヨーク植民地の境界の一部を成していたハドソン川を思わせる水面と、錨を下ろした帆船が描かれています。
クロウズネスト山: 左下に描かれた山は、ハドソン・ハイランズにあるクロウズネスト山(Crow's Nest Mountain)を表しています。
昇る朝日: 中央には、うねる雲の間から昇る朝日が描かれています。太陽から放たれる30本の光線は1784年当時の州の数を表し、雲は独立を勝ち取ろうとした13の当初の州が直面した困難の象徴とされています。
自由と正義――二人の支え手
盾の左右には、それぞれ象徴的な人物像が配されています。
左側:自由の女神(Liberty)
自由の女神は、自由の象徴として知られる伝統的なフリジア帽にゆかりのある姿で描かれています。右手に掲げた杖の先端には「ピレウス(Pileus)」と呼ばれる柔らかな帽子が付けられています。これは自由の象徴であり、古代ローマでは解放された奴隷だけが身につけることを許された帽子でした。左手には、同じく自由を意味する赤い自由の帽をいただいた竿が握られています。
右側:正義(Justice)
正義は、目隠しをした古典的な女性像として描かれ、左手に正義の天秤、右手に剣を持っています。公平さと公正な裁きを象徴する姿です。
州の標語「EXCELSIOR」
最後に、盾の下に配置された白いリボン(バンデロール)には、ニューヨーク州の標語「EXCELSIOR(エクセルシオール)」が刻まれています。ラテン語で「より高く」「いっそう高みへ」を意味するこの言葉は、州の絶え間ない向上心を表しています。