南アメリカの歴史

なぜコロンブスは西回りルートの方が早いと考えたのか?

コロンブスが信じたのは「速さ」ではなく「距離の短さ」

クリストファー・コロンブスは、アジアへ向かう西回り航路が「より速い」と考えたわけではありません。彼が確信していたのは、その航路が「はるかに短い距離」だという点でした。

コロンブスは、アジア大陸が日本のはるか先、さらに東方まで広々と続いていると考えていました。実際、当時の彼にとって日本自体もアジア大陸の一部であると思われていたのです。そのため、船を西へ進めば、香辛料で富をもたらすアジアの島々に、アフリカ大陸をぐるりと迂回して周る従来の航路よりも、はるかに短い旅でたどり着けると信じていました。

さらにコロンブスは、大西洋上に吹く恒常的な貿易風を利用すれば、航海の速度を高めることもできると考えていました。風向きを読み活用するという点で、彼は優れた実践的な航海者の一面を持っていたといえます。

地球の大きさを過小評価した致命的な誤算

しかしながら、コロンブスには決定的な計算ミスがありました。それは地球の大きさを大幅に誤って見積もっていたことです。マルコ・ポーロの旅行記やプトレマイオスの地理学など、根拠の不確かな情報源に基づいて推計を行った結果、極東までの距離を実際の数値より50%以上も過小評価していたのです。

皮肉なことに、この大きな誤算こそが、彼が西回り航路によるアジア到達を固く信じ、冒険に出る決断を後押ししました。そして結果として、コロンブスはアジアには到達できなかったものの、ヨーロッパ人として初めてアメリカ大陸へ足を踏み入れるという、歴史を塗り替える偉業を成し遂げることとなったのです。