日曜日、私たちはポンペイを訪れた。この世がこの世である限り、不幸や惨事は決して絶えることがない。しかし、あの都市で起きた悲劇ほど、人類の心を掴んで離さない出来事はほとんどないだろう。これほど深い関心を呼び起こした災厄を、私は他に思い浮かべることができない。
ゲーテ『イタリア紀行』1787年3月13日
ポンペイ
西暦79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火により、ローマ帝国屈指の繁栄を誇った商業都市ポンペイは、わずか一日で火山灰の底に沈んだ。火砕流と降り積もる灰が街全体を覆い尽くし、住民たちは逃げ惑うその姿のまま、永遠に時を止められたのである。
3Dアニメーションで蘇る「最後の一日」
『A Day in Pompei(ポンペイのある一日)』は、固定カメラによる壮大な3Dアニメーション作品だ。画面の中では、ポンペイ最後の日の時間の流れが克明に再現されていく。何気ない平穏な朝から始まり、次第に現れる異変の兆候、そして破滅へと突き進むまで――観る者は、古代都市が迎えた最期の24時間を、まるでその場に立ち会っているかのような臨場感とともに体験することができる。
灰の中に眠る古代都市が語るもの
ポンペイの悲劇は、同時に古代ローマの暮らしを生々しく伝える貴重な記録でもある。若き日のプリニウスが叔父の死を目撃して残した手紙には、噴火の様子や避難の混乱が詳細に書き留められており、火山学・考古学における最重要史料の一つとされている。18世紀に遺跡が本格的に発掘されて以降、ポンペイは世界中の人々を惹きつけてやまない場所となった。冒頭の言葉を残したゲーテもまた、その魅力にとりつかれた一人だったのである。