ヨーロッパの歴史

1713年ユトレヒト条約でイギリスは北米植民地に何をもたらしたのか?

1713年に締結されたユトレヒト条約において、イギリスが北米の植民地に何かを「与えた」という事実はありません。むしろ逆で、この条約によってイギリスはフランスからハドソン湾地方の支配権を獲得するなど、北米における自国の地位を大きく強化することになりました。

ユトレヒト条約とはどのような条約か

ユトレヒト条約は、1701年から1713年まで続いたスペイン継承戦争(北米では「アン女王戦争」と呼ばれる)の講和条約です。ヨーロッパ列強の勢力図を塗り替えたこの一連の条約により、イギリスとフランスの植民地をめぐる対立にも大きな変化がもたらされました。

イギリスが獲得したもの

条約の結果、イギリスは以下の地域や権益を手に入れました。

  • ハドソン湾地方:毛皮交易で重要なこの地域の支配権をフランスから獲得しました。
  • アカディア(現ノバスコシア):北東部の戦略的要衝を確保しました。
  • ニューファンドランド島:豊かな漁場を有する同島の支配が確定しました。
  • セントクリストファー島(セントキッツ島):カリブ海において、それまで英仏で分割統治されていた同島全体の支配権をイギリスが認められました。

一方、フランスはケープブレトン島(イル・ロワイヤル)の保持を認められ、後にルイブール要塞を築いて対抗しました。

北米植民地への影響

つまり、イギリス本国が植民地に何かを提供したのではなく、植民地をめぐる勢力争いの中でイギリスが領土と交易上の利益を勝ち取ったのがこの条約の実態です。ただし、フランスとの国境紛争が消えたわけではなく、両国の対立はその後も続き、18世紀半ばのフレンチ・インディアン戦争(七年戦争の北米戦線)へと発展していくことになります。