ヨーロッパの歴史

野獣の告白――ヨーゼフ・ゲッペルス、その私生活の素顔とは?

この雄弁な演説家にして政治プロパガンダの巨匠がいなければ、ヒトラーが第二次世界大戦へ突き進むことは、はるかに困難だったはずだ。ナチズムという「ウイルス」でドイツ国民の心と精神を汚染し続けたヨーゼフ・ゲッペルスとは、一体どんな人物だったのか?作家クリストファー・マハトが、最新作でこの問いに挑む。

ヨーゼフ・ゲッペルスはアドルフ・ヒトラーの右腕だった。

この雄弁な演説家にしてプロパガンダの名手がいなければ、ヒトラーが第二次世界大戦を始めるのは、はるかに困難だったであろう。ナチズムというウイルスでドイツ人の心を蝕み続けたゲッペルスの素顔とは?クリストファー・マハトがその答えを探る。

ヨーゼフ・ゲッペルスは執務室で、お代わりのコーヒーを味わいながら私を待っていた。彼の部屋へ続く廊下には、すでにコーヒーの香りが漂っている。私はノックし、彼の快諾を得て再び部屋に入った。驚いたことに、デスクの上にはゲッペルスのカップだけでなく、私用のコーヒーまで用意されていた。

「どうぞ。君にも一杯」

「ありがとうございます……」それ以外に何と言えばいいのか分からなかった。

「先日、君はこう尋ねたね。引用するよ――『あなたはどうしてそんな無礼なナルシストなんですか!』と。そうだろう?」

「ええ……」私は正直に答えた。

「そう、まさにその通り……あの質問には考えさせられたよ。認めよう、かなり傷ついたのも事実だがね」

自分自身に見とれるのが好きな男

ゲッペルスは私から何らかの反応を期待していたようだが、私はうまく言葉が出てこず、ただ頷くことにした。「ええ、まあ……」

「そう、その通り。前回会ってからまだあまり時間は経っていないが、その間に『ナルシスト』という言葉の意味について思い返してみたんだ。まず頭に浮かんだのは、ナルキッソスの神話だ。ご存じかな?」

「もちろんです。自分自身に見とれるのが好きな男でしょう」

1932年6月、ベルリンで開かれたナチ党(NSDAP)の集会で演説するヨーゼフ・ゲッペルス

「その通り。彼の主な仕事は、水面に映る自分の顔に見とれることだった。ナルキッソスはその姿が何よりも好きで、どこでも自分に見惚れていた。欠点のない理想像だとまで自ら語っていた。才能だけに恵まれ、どこを取っても唯一無二の人物だと。ナルキッソスにとって権威とは、他ならぬ自分自身だった。では、何が彼を破滅させたと思う?」

「さあ……」

「あるとき、ナルキッソスは気づいてしまったんだ。鏡に映る存在と直接触れ合うことができないということを。ついには断食を始め、結果的に死んでしまう。要するに、自己陶酔が死因だったというわけだ」

ゲッペルスが何を企んでいるのか、私には見当もつかなかった。そもそもナルキッソスの話自体、唐突すぎた。だからこそ、この男の言うことがますます理解不能になっていく。権力は人を腐敗させると言われるが、ゲッペルス大臣の手には、確かに大きな権力が握られていたのだから。

プロパガンダのテクニック

私の思考など意に介さず、ゲッペルスは続けた。「ナルシズムの話で私が言いたいのはこういうことだ。君の指摘は、ある意味正しかった。確かに私は長い間、自分自身を見つめ続けてきたし、鏡の中の自分ほど美しい光景はなかった。しかし今まで誰も、それを私に告げる度胸のある者はいなかった。君だけが、無謀な本能に突き動かされて、この痛い真実を面と向かって叩きつけてくれた。そしてそのことに感謝しているんだ」

「どういたしまして……といっても、正直、あの質問が正しかったのかどうか、今も分かりません。(……)こんな展開は想定外でしたが、考えてみれば……あなたはアドルフ・ヒトラーの最側近であり、同時に宣伝相ですよね。その宣伝のテクニックを、ヒトラー本人に対して使うことはあるのでしょうか?」

「いい質問だ!実にずる賢い質問だが、答えはノーだ。アドルフ・ヒトラーは、どんなプロパガンダのトリックに対しても免疫を持っている。だから総統相手に試したことは一度もない」

※本文は、ベストセラー作家クリストファー・マハト氏の最新作『ゲッペルスの告白――ヒトラーの盟友との率直な対話』(ベロナ出版)からの抜粋です。

「では別の質問を。初めてヒトラーにお会いしたのはいつですか?」

「1925年7月のことだ。今でも鮮明に覚えている。短い会話だったが、それは私に新たなエネルギーを吹き込み、アドルフ・ヒトラーこそが民族の指導者になるべきだと確信させてくれた。その時、壇上で立ち振る舞う彼を初めて目にした。なんという演説だったか!あの身振り、あの弁舌の妙技!私の期待はすべて満たされた瞬間だった」

「短い会話だったと言いましたね。では、互いを深く知り合えた、もっと長い時間を過ごしたのは?」

「同じ年の11月初めだ。素晴らしかった。あの出会いに私は完全に魅了された。あの大きな瞳は、百の言葉を合わせたよりも多くを語りかけてきた。その瞬間、政治的な意味でのキューピッドの矢に射抜かれた気がしたよ」

ヒトラーの友人

「そこから20年近くが経ちました。その間、アドルフ・ヒトラーの天才性について疑問を抱いたことはありませんか?」

「ああ、一度もない!彼こそ第三帝国にあり得た最高の指導者だ。あの時以来、私は徹底的に、どこまでも彼を崇拝してきた。言ってみれば、彼は私の神だった!そして今日も変わらない。目覚めるたびに、ヒトラーと個人的に知り合えている幸運を実感すると、この計り知れない幸福ゆえに心から微笑みが浮かぶんだ。総統その人の友でいられるなど、これ以上の栄誉があるだろうか」

「率直すぎるかもしれませんが、今のあなたは選挙遊説のように聞こえます。私たちが腹を割って話すなら、このプロパガンダの覆いを外した会話にしたいのですが」

「だが私は正直に話しているんだ!」

「本当ですか?ヒトラーへの敬意は払いますが、あなたの言葉は盲目的な信奉者のそれに聞こえます。ヒトラーに欠点がひとつも見えないなんて、信じられません」

「本当に見えないんだ!」

「本気ですか?もっと率直に話してみませんか。あなたは一人の人間だけに盲目的に集中する、ある種の宗教団体の信者のように聞こえますよ」

「実際、そうなんだ。第三帝国とナチズム全体を二つの言葉で表せる。何だと思う?」

「さあ……」

「アドルフ・ヒトラーだ!」

千里眼

「ええ、そうですか……他に何を期待すればいいのか。ところで、欠点についてはどうなんです?」

「記憶の奥底まで掘り下げれば、何か見つかるかもしれないね。ヴァイスマン氏、例えば――ヒトラーは同時に二つの場所にいることができない。もし可能なら、多くの決定がずっと早くだせたはずだ。これが我々の長の最大の欠点かもしれないな」

「やっぱり選挙遊説を聞いているような気分です。それで……」

私の言葉は、ドアをノックする音に遮られた。

「入れ!」とゲッペルスが呼ばわった。

誰かが素早くドアを開けると、よく知られたヒトラーの個人顧問が戸口に立っていた。「大臣閣下、報告いたします。アドルフ・ヒトラー閣下、総統兼国家首相閣下が、まもなくこちらにお越しになります!」

「落ち着け!報告感謝する」

顧問の革靴がかかとを打ち合わせた。「失礼いたします!」

顧問が退室すると、私は思った。おっと、「噂をすれば影」。ちょうど彼の話をしていたところだ。ほら、ヒトラーがすぐそこに来るじゃないか。まるで千里眼だ!

ヒトラーには逆らえない

ゲッペルスは興奮しているように見えた。その表情には覚えがある。私はすぐに察しがつき、ふと頭をよぎった考えに思わず笑みがこぼれた。まるで寝室で快楽に耽る瞬間の自分と同じ顔つきではないか。病的な興奮が織り込まれた陶酔感。そして同時に、あまりに自然であってこそ、異常なのである。

再びノックの音がした。ゲッペルスは跳ね起きて直立姿勢をとった。私もそれにならった。

半開きの扉の奥から現れた顔は、宇宙の果てでも見分けがついただろう。あの貧血のような薄い髭を蓄えていたのは、この世に一人しかいない。彼は一瞬で室内を見回し、かすかに微笑んだ。それから、身長165センチのその体が、ヨーゼフ・ゲッペルスの執務室へと入ってきた。

「邪魔かな、諸君?」とヒトラーは柔らかく尋ねた。もっとも、その表情には怒りのような奇妙な感情が浮かんでいたが。

「とんでもない、我が総統!ようこそ!」ゲッペルスは精神的に歓喜の頂点に達しようとしていた。

大臣はヒトラーに楽な椅子を勧めたが、ヒトラーは首を振り、こう続けた。「大臣、5分後に東方における今後の作戦戦略に関する重要な会議を招集した。君も出席してもらいたい」

「もちろん、我が総統!(Natürlich, mein Führer!)」

「よろしい。では、またすぐに会おう」

ヒトラーが去ると、あの薄くなった髭も一緒に消えた。ドアが閉まった途端、ゲッペルスは当然のように言った。「ほら見ろ、職務が呼んでいるわけだ。後で電話するよ。会議の直後にね。分かっているだろう。ヒトラーには逆らえない……」

出典

本文は、ベストセラー作家クリストファー・マハト氏の最新作『ゲッペルスの告白――ヒトラーの友人との率直な対話』(ベロナ出版刊行)からの抜粋である。