ヨーロッパの歴史

タソス島パリオカストロで発見、ビザンツ初期の頭蓋骨に残る「驚くほど複雑な脳外科手術」の痕跡

タソス島パリオカストロで発見、ビザンツ初期の頭蓋骨に残る「驚くほど複雑な脳外科手術」の痕跡

ギリシャ系ディアスポラの人類学者アナグノスティス・アゲララキス氏による新たな調査により、エーゲ海北部のタソス島パリオカストロ遺跡から、ビザンツ(東ローマ)帝国初期(西暦4世紀~7世紀)とされる頭蓋骨が出土しました。この頭蓋骨には、同氏が「驚くほど複雑」と評する外科手術の痕跡が残されていました。

高貴な身分の人々か

今回の発見は、ニューヨークのアデルフィ大学の研究チームによるもので、人類学教授のアナグノスティス・アゲララキス氏が率いました。調査では合計10体、女性4人と男性6人の骨格が発見・分析されました。埋葬地の場所や建築様式から、彼らは高い社会的地位を持つ人物だったと考えられています。

アゲララキス氏は大学の発表資料の中で次のように述べています。「骨格・解剖学的特徴から判断すると、男女とも肉体的に過酷な生活を送っていたことがわかります。男女ともに負った非常に重篤な損傷は、創傷処理に豊富な経験を持つ、極めて熟練した医師・外科医によって外科的または整形外科的に治療されていました。この医師は軍医だったと考えています」

40年間の研究で最も複雑な手術

特に注目されるのが脳外科手術です。アゲララキス氏は「予後は極めて厳しいものでしたが、この特定の男性に対しては大規模な救命の努力が払われました。したがって、彼はパリオカストロの住民の中で非常に重要な人物だった可能性が高い」と推測しています。手術の原因は感染症だったとみられ、この男性の弓兵は、医師の救命措置の最中か、その直後に死亡したようです。

アゲララキス氏はこう語ります。「この手術は、私が40年間の人類学研究の中で見てきた中で最も複雑なものです。抗生物質が発見される以前の時代に行われたというのは信じられないことです」。同氏の詳細な調査結果は、Archaeopress出版から刊行された新著『Eastern Roman Mounted Archers and Extraordinary Medico-Surgical Interventions at Paliokastro in Thasos Island during the ProtoByzantine Period』(ビザンツ初期におけるタソス島パリオカストロの東ローマ騎馬弓兵と驚異的な医療外科的介入)にまとめられています。

研究者について

A. アゲララキス氏はスウェーデンのルンド大学で古典考古学とヨーロッパ民族学を専攻し、その後ニューヨークのコロンビア大学で人類学の修士号を取得。1989年には同大学から自然人類学および考古学の博士号を授与されました。

出典:APE-ME(アテネ・マケドニア通信)