
見過ごされてきた「小さな歴史」に光を当てる
アリストン・ブックス(Ariston Books)から刊行された本書は、ギリシャの軍事史学に残された空白を部分的に埋めることを目指している。これまで軽視され、あるいは無視されがちだった個別の、一見些細なテーマ。しかし、過去の偉大な章をより完全に記録するためには欠かせないものばかりだ。本書は、目的を持って造られた建造物、政府の施策、当時の人々の認識、記念碑など、関連知識を深めるあらゆる要素に焦点を当てている。
初公開の写真や資料の数々
豊富な写真資料、設計図、希少な地図、公私の文書、出版物などがふんだんに盛り込まれ、その多くは今回が初公開となる。著者ハラランボス・ディモポウロス(Charalambos Dimopoulos)氏は、厳選された参考文献とともにこれらを丁寧に提示することで、今後の同種研究の地平を広げようとしている。同時に、ギリシャにおける軍事史的な教育・研究活動がどのような環境の中で発展してきたのかについても、簡潔ながら包括的に描き出している。
砲台、防空壕、そして「12月の事件」の爪痕
古い砲台や防空壕、1936年から1941年までの防衛準備とその実践、個人所蔵の珍しい文書や写真、激しい軍事衝突の痕跡――こうした題材の数々が、読者に貴重な事実と詳細を知る機会を提供する。それらはいずれも、ギリシャ近現代軍事史の形成に確かな役割を果たしてきたものだ。
冒頭の数ページでは、全国各地に点在する各戦時期の砲台やその他の軍事施設(監視哨、橋梁、トンネル)が取り上げられている。これらの建造物は、場所さえ突き止めれば実際に足を運ぶことができ、精巧な設計、独特の建築材料、そして立地の妙が訪れる人々を魅了してやまない。
続く章では、1936年から1940年にかけての国家の戦争準備の一端を垣間見せる「断片」が紹介される。アテネ市内に現存する防空壕は、まさにこの時代の「考古学的」遺構と言えるだろう。
さらに本書は、1944年12月にアテネで起きた流血の惨事、いわゆる「デケムヴリアナ(12月事件)」の爪痕が今も建物に刻まれた「痕跡」へと視点を移す。最終セクションでは、研究者が偶然に出会いうる「思わぬ発見」――個人所蔵や散逸したコレクションに含まれる当時の写真、古い軍用教範、軍用・民用地図、軍事文書や公文書、過去の報道記事など――を幅広くカバーしている。
次世代の研究者への熱いメッセージ
著者が見事に収集し提示した本書の資料群は、あらゆるレベルでギリシャの軍事史研究に身を投じようとする若い世代に、強い刺激を与えるに違いない。その意味で本作は、「軍事考古学」の研究者にとって格好の「ガイドブック」であり、補足データの興味深く有益な供給源であり、関連分野のギリシャ語文献への見事な追加となっている。
書誌情報
著者:ハラランボス・ディモポウロス(Charalambos Dimopoulos)
出版社:ARISTON BOOKS ©2020(イプシラントゥ通り5番地、アテネ10675、電話:210-725-5962)
ページ数:146ページ
