ヨーロッパの歴史

VRでよみがえる1912年の奇襲――ヴォツィス艦長とともにトルコ戦艦を撃沈せよ

VRでよみがえる1912年の奇襲――ヴォツィス艦長とともにトルコ戦艦を撃沈せよ

来館者は特別なゴーグルとグローブを身につけ、トレッドミルに乗ることで、あたかも1912年10月のテッサロニキ港、ニコラオス・ヴォツィス艦長の船上に立っているかのような感覚を味わうことができます。

1912年10月のテッサロニキ港へタイムトラベル

2023年以降、マケドニア闘争博物館の常設展示エリアに特別なVR(バーチャルリアリティ=仮想現実)施設が完成する予定です。この施設を通じて、来館者はオスマン帝国戦艦「フェティ・ブレンド」の雷撃という歴史的出来事を、まるでドラマの"共演者"になったかのように自ら体験できるようになります。

背景をご紹介しましょう。第一次バルカン戦争真っ只中の1912年10月、ギリシャ海軍の第11号魚雷艇(艇長:ニコラオス・ヴォツィス)は夜陰に乗じてテッサロニキ港へ単独突入し、警備艦として停泊していた旧式装甲艦「フェティ・ブレンド」を魚雷で撃沈しました。小型の魚雷艇が敢行したこの大胆不敵な作戦は、ギリシャ海軍史上屈指の武勇伝として今も語り継がれています。

博物館に「新しい命」を吹き込む

この施設は、「バーチャル・拡張現実における歴史文化要素とのパーソナライズド・インタラクション」というプログラムの一環です。マケドニア歴史文献研究センター(IMMA)所長で、マケドニア大学バルカン・スラヴ・東洋学科教授のスタヴロウラ・マヴロゲニ氏によれば、この取り組みは「博物館に新しい命を与える」ことが期待されるといいます。展示空間のリニューアルに加え、幅広い年齢層向けに設計された教育プログラムを通じて、博物館全体に"新たな息吹"をもたらすことが目標です。

産学連携で実現する歴史の再現

マケドニア闘争博物館財団は、このプログラムの枠組みのもと、企業N-CODE S.A.およびパトラ大学電気工学・コンピュータ技術学部 有線通信研究所の情報可視化・バーチャルリアリティ研究グループと協力し、1912年10月にテッサロニキ港に停泊していた軍艦「フェティ・ブレンド」の雷撃シーンを再現する研究を担当しました。

プログラムの学術責任者を務めるマヴロゲニ氏は、こう語ります。「来館者には、マケドニア闘争博物館を訪れ、第11号魚雷艇の乗組員の一員としてその瞬間を体験してほしいのです」

最新VRとインタラクティブ・ナラティブの融合

独自開発のアプリケーション「CuRVE」は、オスマン戦艦「フェティ・ブレンド」の沈没船から引き揚げられた遺物を展示するIMMAのデモンストレーション・ラボを強化するために活用され、第11号魚雷艇による戦艦雷撃という歴史的出来事の記録と発信を目指します。本プロジェクトは、バーチャルリアリティとインタラクティブ・ナラティブ(双方向型ストーリーテリング)の最先端の成果を組み合わせることで、文化施設の来館体験そのものを変革し、来館者を受動的な見学者から文化の"能動的な参加者"へと変えることを目標としています。

文化財保存の意義を楽しく伝える

マヴロゲニ氏は、CuRVEの狙いを次のように強調します。「来館者が文化財に関心を持ち、楽しく魅力的な方法で文化の歴史的要素を発見・評価・尊重し、それらを守ることがなぜ大切なのか、そしてそれらが歴史・文化・政治・社会の発展に深く関わる価値とどう結びついているのかを、実感として理解できるようにすることです」

膨大な一次資料に基づく綿密な調査

「フェティ・ブレンド」雷撃事件の多面的な実像は、広範なアーカイブ調査と文献研究によって照らし出されます。調査対象には、ギリシャとトルコの国家公文書館に残る公文書、事件関係者の回想録、ギリシャ国内外の報道記事や出版物、書簡、写真資料、フィルムに記録された歴史的映像など、一次資料が数多く含まれています。

同時に、実際の沈没船から回収された遺物の調査も進められており、これらは現在、ギリシャ海軍博物館、テッサロニキ戦争博物館、そしてマケドニア闘争博物館に展示されています。

VRでよみがえる1912年の奇襲――ヴォツィス艦長とともにトルコ戦艦を撃沈せよ

ニコラオス・ヴォツィス艦長

プロジェクトチーム

  • 執筆チーム・学術責任者:スタヴロウラ・マヴロゲニ
  • プロジェクト監視委員会 IMMA代表:ファニ・ツァハイア
  • 研究者:コンスタンティノス・S・パパニコラウ、クリストス・キリアコポウロス、スピリドン・ガステラトス、エヴァンゲロス・カンジゾグルウ

出典:APE-ME(アテネ・マケドニア通信)