1939年9月に始まったナチス・ドイツによるポーランド侵攻(ポーランド戦役)は、第二次世界大戦の幕開けとなった歴史的な出来事です。この戦役においてドイツ国防軍は、第一次世界大戦世代の旧式機関銃から当時最新鋭の汎用機関銃まで、多彩な機関銃を運用しました。ここでは、ポーランド侵攻に関連するドイツ軍の代表的な機関銃を、それぞれの特徴とともに紹介します。
MG 08(マシーネンゲヴェーア08)
MG 08は1908年にドイツ軍が採用した重機関銃です。第一次世界大戦で大量に使用され、塹壕戦を象徴する兵器として知られています。第二次世界大戦でも後方警備部隊や予備部隊を中心に引き続き運用されました。作動方式は短反動利用式で、給弾はベルト式。発射速度は毎分約500発、有効射程は最大2,000メートルに達します。通常は三脚に架設して運用され、陣地防御の要となる固定火力として活躍しました。
MG 13(マシーネンゲヴェーア13)
MG 13は、第一次世界大戦期に開発されたドライゼ系統の機関銃を改良して完成させた軽機関銃で、1930年代初頭にドイツ軍へ制式採用されました。作動方式は短反動利用式で、25発入り箱型弾倉による給弾が基本です。発射速度は毎分約600発、有効射程は約1,000メートル。MG 08よりも大幅に軽量で携行性に優れていたため、歩兵の機動的な支援火器として重宝されました。ただし生産コストが高かったことなどから、次第により高性能なMG 34へと更新されていきました。
MG 34(マシーネンゲヴェーア34)
MG 34は1930年代初頭に開発された汎用機関銃で、世界初の本格的な「多用途機関銃」と評される名機です。短反動利用式で作動し、ベルト給弾方式を採用。発射速度は毎分最大900発前後、二脚での射撃時の有効射程は約1,000メートル、三脚架設時には2,000メートル以上に及びます。歩兵の携行火器としてだけでなく、三脚への架設、車両や装甲車への搭載など、あらゆる場面に対応できる万能性が最大の魅力でした。ポーランド侵攻当時、ドイツ軍歩兵分隊の中核火力を担っていたのがこのMG 34です。
MG 42(マシーネンゲヴェーア42)
MG 42は第二次世界大戦中に開発された機関銃で、その驚異的な発射速度から「ヒットラーののこぎり」という異名でも知られる、当時最も効果的な機関銃の一つと評価されています。ローラーロッキング方式を採用し、発射速度は毎分1,100〜1,300発、有効射程は約1,500メートル。歩兵用火器としてのほか、三脚架設や車両搭載にも対応し、敵歩兵に対しては圧倒的な制圧力を発揮しました。なお、MG 42の制式採用は1942年であるため、1939年のポーランド侵攻には間に合っておらず、実際の戦役で使用されたのはMG 34などが中心でした。
まとめ
ポーランド侵攻時のドイツ軍の機関銃体系は、まさに過渡期にあると言えます。第一次大戦世代のMG 08から最新鋭のMG 34まで新旧混在していたものの、これらの実戦経験と教訓は、後に登場する傑作機関銃MG 42の開発につながりました。機関銃を軸とした分隊火力の充実は、電撃戦(ブリッツクリーク)の成功を支える重要な要素となったのです。