ヨーロッパの歴史

ヴェルサイユ条約で領土を獲得した国はどこ?第一次世界大戦後の領土再編を徹底解説

1919年に調印されたヴェルサイユ条約は、第一次世界大戦の戦後処理を定めた歴史的な平和条約です。この条約により、敗戦国となったドイツやオーストリア=ハンガリー帝国から大幅な領土が削減され、その土地は複数の連合国へと移譲されました。

ここでは、ヴェルサイユ条約によって領土を獲得した主な国々と、それぞれが得た地域を詳しく見ていきましょう。

フランス

ドイツからの領土返還において最も大きな成果を得たのがフランスです。

  • アルザス=ロレーヌ — 1871年の普仏戦争でドイツに奪われていた地域が、48年ぶりにフランスへ復帰しました。
  • ザール地方の一部 — 石炭資源が豊富なこの地域は、国際連盟の管理下に置かれた後、最終的にフランスの影響圏となりました。
  • トーゴランドおよびカメルーンの一部 — ドイツ植民地だったこれらの地域の一部も、フランスの委任統治委任統治領として獲得しました。

ベルギー

ベルギーも戦争中の被害に対する補償として領土を拡大しています。

  • エウペン・マルメディ — ドイツ西部の国境付近にあるこの地域は、ベルギーに正式に編入されました。
  • ルアンダ・ウルンディ — 現在のルワンダおよびブルンジにあたる地域で、ドイツ領東アフリカの一部がベルギーの委任統治領となりました。

デンマーク

  • 北シュレースヴィヒ — 1864年の第二次シュレースヴィヒ戦争で失っていた地域です。住民投票の結果に基づき、デンマークへの復帰が実現しました。

イタリア

連合国側として参戦した見返りとして、イタリアはオーストリア=ハンガリー帝国から多くの領土を獲得しました。

  • 南チロル — アルプス山脈の戦略的要衝であり、現在もイタリアの自治州として存続しています。
  • トレンティーノ — イタリア語圏の住民が多く暮らす地域でした。
  • イストリア — アドリア海沿岸の重要な半島部です。
  • ダルマチア海岸の一部 — ただし、この地域については約束されていた領土のすべてを獲得できず、後の「未回収のイタリア」問題の一因となりました。

ポーランド

ヴェルサイユ条約最大の受益者のひとつが、123年ぶりに独立を回復したポーランドです。

  • ポーゼン(ポズナン) — 歴史的なポーランド人の中心地のひとつでした。
  • 西プロイセン — これによりポーランドはバルト海への出口(ポーランド回廊)を確保しました。
  • 東上シレジア — 石炭産業で栄える地域で、住民投票や住民蜂起を経てポーランド領となりました。
  • ダンツィヒ(グダニスク) — ポーランド領ではありませんでしたが、国際連盟管理下の自由都市としてポーランドの経済的な窓口となりました。

まとめ

ヴェルサイユ条約による領土再編は、フランス、ベルギー、デンマーク、イタリア、そして新興国家ポーランドに大きな利益をもたらしました。一方で、ドイツにとっては屈辱的なものであり、「ヴェルサイユ体制」と呼ばれる不安定な国際秩序を生み出し、後の歴史の展開にも深く影響を与えることになりました。