1776年、トマス・ペインによって出版されたパンフレット『コモン・センス』は、イギリスに対するアメリカ植民地人の態度に多大な影響を与えました。平易な言葉で書かれたこの小冊子は瞬く間に広まり、数か月で10万部以上を売り上げたと言われています。ペインはその中でアメリカの独立を訴え、イギリスによる植民地支配の正当性に真っ向から挑戦しました。
王権神授説の否定
ペインは、君主の権威が神から直接与えられるとする「王権神授説」を批判しました。ジョージ3世が絶対的な権力を持ち、その統治が神意によるものだという考え方を否定し、王制そのものの不合理さを鋭く指摘したのです。
自然権の強調
また、ペインは人間が生まれながらに持つ「生命・自由・幸福の追求」の権利を強調しました。これらの権利は自然から与えられたものであり、君主や政府の気まぐれに左右されるべきではないと主張しました。
人民主権の思想
ペインによれば、正当な政治権力の源は国王ではなく人民自身にあります。政府の目的は統治される者の利益に奉仕することであり、それを果たさない政府に対しては、人民が変更あるいは廃止する権利を持つと説きました。
暴政と抵抗の権利
さらに、政府が市民の権利を組織的に侵害するようになれば、それは暴政にほかならず、人民は抵抗し、そのような政府を打倒する権利を有すると主張しました。
独立への呼びかけ
ペインは植民地の人々に対し、イギリスからの独立を宣言するよう力強く促しました。彼の目に映ったイギリスの支配は抑圧的で不正義であり、自由と自治の原則とは相容れないものでした。
『コモン・センス』がもたらした影響
『コモン・センス』で展開された思想は、すでにイギリスの政策や不当な扱いに幻滅していた植民地の人々の心に深く響きました。このパンフレットは独立への機運を高め、イギリスの権威を拒絶する動きを加速させました。世論の形成において決定的な役割を果たし、植民地の人々を団結させ、自らの権利と自己決定のために立ち上がるきっかけとなったのです。