ドイツのV2ミサイルに乗った宇宙飛行士は存在しない
結論からお伝えすると、ドイツのV2ミサイルに搭乗した宇宙飛行士は一人もいません。
V2ミサイル(V-2ロケット)は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した弾道ミサイルで、連合国側の都市や軍事目標を攻撃するために使用された兵器です。そもそも人間を運ぶためには設計されておらず、宇宙飛行士を乗せるという用途は一切ありませんでした。
V2ミサイルとはどのようなものか
V2(正式名称:Aggregat 4)は、ヴェルナー・フォン・ブラウン率いる研究チームによってペーネミュンデで開発された、世界初の本格的な長距離弾道ミサイルです。1944年から実戦に投入され、主にイギリスのロンドンやベルギーのアントウェルペンなどに対して発射されました。
それでもV2は宇宙開発の礎となった
興味深いことに、V2は兵器である一方、技術的には当時世界最高水準のロケットでもありました。1944年6月に行われた試験飛行では高度約80km以上に達し、人工物として初めて宇宙空間の境界線とされるカーマン・ラインに到達した記録を持っています。
戦後になると、アメリカやソ連は接収したV2を高層大気観測などの科学研究に活用しました。たとえばアメリカの実験では、V2に果実バエや植物の種といった生物標本が搭載されていますが、これもあくまで標本であり、人間ではありません。
つまり、V2は後の宇宙開発の基盤となった歴史的に重要なロケットではあるものの、宇宙飛行士を乗せて飛行したことは一度もないのです。人類初の有人宇宙飛行は1961年にソ連のユーリ・ガガーリンが成し遂げたものであり、V2とはまったく異なる歴史の出来事です。