結論から言うと、マスタードには特定の発明年も発明者も存在しません。マスタードは誰かが一時期に「発明」したものではなく、何千年にもわたって人類の食文化の中で少しずつ形を変えてきた調味料だからです。
古代文明にまで遡るマスタードの歴史
マスタードの歴史は、古代文明の時代にまで遡ることができます。カラシナ(マスタードシード)は世界最古の香辛料の一つとされ、考古学的な発掘調査では、古代の遺跡からマスタードの種子が見つかっています。
古代エジプト、ギリシャ、ローマなどの文明では、マスタードの種子は料理用と薬用の両方で活用されていました。例えば、古代ギリシャの医学者ヒポクラテスは、マスタードを薬として処方していたと伝えられています。
「マスタード」という名前の由来
現在私たちが知っているペースト状のマスタードに近いものを作り出したのは、古代ローマ人だと言われています。彼らは挽いたマスタードの種子を、発酵させていないブドウ果汁(ムスト)と混ぜて調味料を作りました。この「燃えるようなムスト(mustum ardens)」という言葉が、英語の「mustard」の語源になったとされています。
中世ヨーロッパでの発展
中世に入ると、フランスの修道院などでマスタードの製造が本格化し、13〜14世紀頃にはパリやディジョンがマスタードの名産地として栄えました。特にディジョン産のマスタードは高級品として珍重され、今日でも「ディジョン・マスタード」として世界的に有名です。
まとめ
マスタードは特定の年に発明されたものではなく、古代エジプトやローマの時代から食用・薬用として親しまれ、長い歴史の中で進化してきた調味料です。「いつ生まれたのか」という問いへの答えは、「人類の食卓と同じくらい古い」と言えるでしょう。