結論から言うと、現在ツァーリズム(ツァーリによる統治体制)を国の政治体制として採用している国は一つもありません。
ツァーリズムとは何か
ツァーリズムとは、ロシア帝国で採られていた絶対君主制のことです。「ツァーリ」とは皇帝を意味する称号であり、その語源はローマ皇帝を表す「カエサル(Caesar)」に由来するとされています。ツァーリは立法・行政・司法のすべての権限を一手に握り、国民からの権力委譲ではなく「神から授けられた権威」によって統治を行うとされていました。
ロシア帝国におけるツァーリズムの歴史
ツァーリの称号は、1547年にイヴァン4世(イヴァン雷帝)が正式に戴冠したことに始まります。その後、ロマノフ朝の時代にツァーリズムは確立され、ピョートル1世(大帝)の時代には皇帝(インペラトル)の称号も併用されるようになりました。
しかし、20世紀に入ると社会不安や経済的困窮、日露戦争や第一次世界大戦での苦戦が重なり、帝政への批判が高まっていきます。そして1917年、二月革命によってニコライ2世が退位し、約370年続いたロマノフ朝とともにロシアのツァーリズムは幕を下ろしました。同年には十月革命が起こり、ロシアはソヴィエト政権へと移行していきます。
現代のロシアの政治体制
現在のロシア連邦は、大統領を元首とする半大統領制の共和制国家であり、君主制は採用されていません。かつての帝政の象徴であるツァーリが政治権力を持つことはありません。
まとめ
ツァーリズムはロシア帝国に特有の絶対君主制であり、1917年の革命をもって歴史上の制度となりました。したがって、今日この体制を国制として採用している国は存在しない、というのが答えです。