ヨーロッパの歴史

菜食主義は自慰と過剰な性行為を抑えるために生まれた――グラハムの食の革命とコーンフレークスの意外な起源

シルベスター・グラハム(Sylvester Graham)は、19世紀前半のアメリカで禁酒運動に属していた長老派教会の牧師でした。この運動こそが、1920年の禁酒法成立につながったものです。仲間の改革者たちがアルコール消費、女性の権利、奴隷制といった社会問題や人道的問題に取り組むなか、グラハムが注目したのは「健康」と「性」でした。彼によれば、当時のアメリカ社会は衰退の真っ只中にあり、国民が病んでいる証拠は明白でした。その症状とは、若者たちの自慰(視力低下や性的器官の未熟による健康被害をもたらすと信じられていた)、生殖を目的としない性行為(月に1回を超えるのは堕落とされた)、そして身体を蝕む肉・香辛料・アルコールの摂取。さらに彼は、肉の消費と性的な衝動のあいだに直接的な関係があると確信していたのです。

菜食主義は自慰と過剰な性行為を抑えるために生まれた――グラハムの食の革命とコーンフレークスの意外な起源

シルベスター・グラハム

宗教的な熱意と、現代のテレビ伝道師さながらの雄弁さに支えられたグラハムは、肉体的な衝動を抑え、食生活を劇的に見直すことで健康を管理するよう人々に呼びかけました。それが「グラハム食」です。この食事法の中心は新鮮な果物・野菜、全粒粉パン、穀物で、肉と香辛料は排除。牛乳、チーズ、バター、卵などの一部の食品は、適量であれば許容されました。とはいえ、定期的な入浴、歯磨き、新鮮な空気を吸うこと、毎日の運動といった、アメリカ社会にとってむしろ有益な習慣も数多く提唱しています。

そして、もうひとつ彼の攻撃を受けた食品がありました。それがパンです。1830年の『パンとその製造に関する論文』で、グラハムは市販パンの低品質を痛烈に告発しました。急速な工業化と都市化により、家庭の食習慣は変化していました。問題は食品の種類ではなく、その供給元、つまり家庭のキッチンではなく工場で作られるようになったことでした。なかでも白いパンは最悪でした。工場で大量生産される(グラハムはこれを「ビジネス」と皮肉りました)ため、小麦粉には白亜(チョーク)が混ぜられており、あの真っ白な色こそが健康に有害な添加物使用の証拠だと主張したのです。そこでグラハムは独自の全粒小麦粉の製法を開発し、「グラハムパン」に使用しました。今日スーパーで売られているグラハムクラッカーは、このグラハム粉で作られるクラッカーのことです。

菜食主義は自慰と過剰な性行為を抑えるために生まれた――グラハムの食の革命とコーンフレークスの意外な起源

では、アメリカ人はこの先見者をどう受け止めたのでしょうか? 大多数は彼を無視しました――精肉業者やパン職人たちは、何度か彼を私刑にしかけたほどです。しかし一方で、彼の指針に忠実に従う熱狂的な信奉者集団「グラハマイト」も生まれました。グラハム粉は成功を収め、レストランや旅館の中には、ミシュランの星のように店頭に「グラハム粉使用」と掲げる店さえ現れました。グラハム自身は、自分の使命は神聖なものだと信じていたため、小麦粉の特許を取得したり、経済的利益を得たりすることは決してありませんでした。実際、金銭的な苦労は彼の人生の常でした。1840年代後半には、過激な主張が多くのグラハマイトを遠ざけ、彼は表舞台から退くことを決めます。孤独のうちに、1851年、57歳でこの世を去りました。

もし今日グラハムが蘇ったなら、その心境は複雑なはずです。甘いのは、菜食主義の先駆者となったこと(もっとも、彼が望んだ理由とはまったく違いますが)、そして非常に苦いのは、彼が生んだ小麦粉が、添加物たっぷりの大量生産クッキーに使われていることでしょう。ちなみに1878年、グラハムの弟子である医師ジョン・ハーヴェイ・ケロッグは、グラハマイト流のシリアル「グラノーラ」を考案しました。その成功を受けてケロッグはコーンフレークスのレシピを完成させ、ここにアメリカの朝食産業が幕を開けたのです。

ケロッグはミシガン州バトルクリークでサナトリウムを経営しており、師の教えに忠実に従っていました。実は、子ども向けの朝食用にコーンフレークスを作ったのも、「自虐」(彼が自慰を指すのに使った言葉)の衝動と戦う助けになるという理由からでした。ケロッグは自慰を「矯正」するために働き、その手段はしばしば極端なものでした。包茎手術、手を縛ること、性器を籠で覆うこと、電気ショックなどです。

少年たちにほぼ確実に効果のある治療法のひとつが割礼である。特に包茎の症状がある場合にはなおさらだ。手術は麻酔なしで外科医が行わなければならない。手術の痛みは短時間で済み、精神に有益な効果をもたらすからだ。とりわけ、それを罰という観念と結びつけられればなおさらである。数週間にわたって続く痛みはその行為を中断させ、習慣になっていなければ、やがて忘れ去られるだろう[…]私たちが成功裏に用いてきたもうひとつの治療法は、勃起を防ぐように銀糸の縫合糸を1本以上縫い付けることである。

そして女性に対しては……

純粋な石炭酸(フェノール)やその他の刺激物を陰核に塗布することは、性的な興奮を防ぐ優れた手段である。性器の切除もまた同様に……

というわけで、菜食を実践している方、朝にシリアルを食べている方……肉の欲を抑えなさい、罪人よ!

出典:The Atlantic、Atlas Obscura