重商主義を採用した主な国
重商主義は、16世紀から18世紀頃にかけてヨーロッパを中心に広まった経済思想で、貿易黒字の獲得や貴金属の蓄積によって国富を増やすことを目指しました。国家が貿易や産業に深く関与し、輸出を奨励しながら輸入を抑えるのが大きな特徴です。以下の8カ国が、重商主義的な政策を採用した代表例として知られています。
フランス
ルイ14世のもとで財務総監を務めたジャン=バティスト・コルベールが推進した「コルベール主義」が有名です。王立マニュファクチュアの設立や輸出産業の保護・育成など、国家主導による産業振興が徹底的に行われました。
イギリス(グレートブリテン)
1651年の航海法により、海外との貿易輸送を自国船に限定するなど、海洋貿易の独占を図りました。植民地との排他的な交易関係を築いた点でも、重商主義の典型例とされています。
オランダ
オランダ東インド会社(VOC)を通じて海外貿易を独占的に管理し、17世紀の「黄金時代」を築き上げました。商業資本の発達が顕著で、当時世界最大の貿易国として君臨していました。
スペイン
中南米の植民地から金や銀を大量に搬入し、貴金属の蓄積による国富の増大を目指しました。しかし、貨幣の大量流入による激しいインフレーションなど、思わぬ副作用も招いています。
ドイツ
統一以前は各領邦がそれぞれ保護貿易政策をとっていました。19世紀にはフリードリヒ・リストが「幼稚産業保護論」を提唱し、後発工業国としての保護貿易路線を理論的に支えました。
イタリア
ヴェネツィアやジェノバなどの都市国家が地中海貿易で繁栄し、初期の重商主義的経済活動の中心地となりました。商人資本による高度な金融技術も発達しています。
日本
江戸時代の鎖国政策の下では、長崎を通じた限定的な貿易によって貴金属の流出を厳しく管理しました。また、幕府や各藩による専売制度や産業振興策にも、重商主義的な性格が色濃く表れています。
アメリカ合衆国
建国初期、初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンが国内産業の保護と育成を提唱しました。関税による幼稚産業の保護政策がとられ、後のアメリカ工業化の基盤が形成されました。
まとめ
重商主義は絶対王政期のヨーロッパを中心に広く採用され、各国の産業育成や貿易政策に多大な影響を与えました。その後、アダム・スミスの『諸国民の富』に代表される自由主義経済論にとって代わられますが、現代における保護貿易政策や産業政策にも、その思想的な影響を今なお垣間見ることができます。