バーナード・マルクスは本当にジョンの「保護者」なのか?
オルダス・ハクスリーの小説『すばらしい新世界(Brave New World)』において、バーナード・マルクスがジョン(野蛮人)の「保護者」として何かを獲得したのかという疑問は、多くの読者が抱く興味深いテーマです。しかし、結論から言えば、バーナードは物語の中でジョンの真の保護者として描かれているわけではありません。
バーナードとジョンの実際の関係
作中でバーナードは、保留地(セヴェージ・リザベーション)への旅行中にジョンとその母リンダを発見し、彼らを「文明化された世界」であるロンドンへ連れ帰ります。この経緯から、一見するとバーナードがジョンの案内人や後見人のような役割を果たしたように思えるかもしれません。
しかしその動機は、ジョンの幸福や成長を支えることではなく、あくまで自分自身の社会的地位を向上させることにありました。当時のバーナードは、体格が小さいことなどから周囲から疎外され、アイデンティティに悩む下級アルファとして描かれています。ジョンを連れ帰ったことで一躍注目を集め、社交界での名声を手に入れたのです。
バーナードが「得たもの」の正体
つまり、バーナードが獲得したのは保護者としての誇りではなく、一時的な名声と社会的承認でした。ジョンは彼にとって、好奇心の対象であり、自己顕示のための道具にすぎませんでした。そのため、ジョンが世間の関心を集めるにつれてバーナードの立場は逆転し、再び自信を失っていくという展開になります。
まとめ
特定の章や文脈を示さずに詳細な出来事を断定することは難しいものの、作品全体を読み解く限り、バーナード・マルクスはジョンの守護者として精神的な何かを得た人物ではなく、自分の利益のためにジョンを利用した、あくまで準主役級の登場人物だと言えます。この対比こそが、ハクスリーが描きたかった「文明社会」の空虚さを浮き彫りにしているのです。