ヨーロッパの歴史

ノーベル平和賞の始まりとは?創設の経緯と歴史をわかりやすく解説

ダイナマイト発明者が遺した「平和への遺言」

ノーベル平和賞の起源は、ダイナマイトをはじめとする爆薬の発明者として知られるスウェーデンの科学者、アルフレッド・ノーベル(Alfred Nobel)の遺言にさかのぼります。1896年に亡くなったノーベルは、自らが築き上げた巨大な財産の大部分を、人類に貢献した人物を顕彰するための賞の設立に充てるよう遺言しました。

遺言書には、賞は「前年中において人類に対し最大の貢献をもたらした者」に授与されるべきことが明記されていました。この遺言に基づいて創設されたのが、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、そして平和賞の5部門からなるノーベル賞です。

ノルウェー・ノーベル委員会による選考

ノーベルの遺言によれば、平和賞の受賞者はノルウェー・ノーベル委員会(Norwegian Nobel Committee)が選定することになっています。同委員会は、ノルウェー議会が任命する5名の委員で構成されており、スウェーデンの機関が選考を担う他の4部門とは異なる仕組みを採用しています。

第1回ノーベル平和賞は1901年に授与され、フランスのフレデリック・パシー(Frédéric Passy)とスイスのアンリ・デュナン(Henry Dunant)が共同受賞しました。パシーは国際的な平和運動の先駆者であり、列国議会同盟(IPU)の創設者です。一方のデュナンは赤十字国際委員会(ICRC)の創設者として、戦争犠牲者への人道支援の道を開いた人物として知られています。

世界に名を連ねる受賞者たち

ノーベル平和賞は、これまで世界中の個人や団体に対して、平和への貢献を理由に授与されてきました。著名な受賞者としては、南アフリカの人種差別(アパルトヘイト)撤廃に尽力したネルソン・マンデラ元大統領、同じく反アパルトヘイト運動で知られるデズモンド・ツツ大主教、女性教育の重要性を世界に訴え続けるマララ・ユスフザイ氏、そして難民支援を展開する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などが挙げられます。

批判を受けながらも世界的な権威であり続ける

ノーベル平和賞は、その選考が政治的すぎるという指摘や、特定の紛争や人物が見過ごされているとの批判を受けることもありました。しかしそれでもなお、ノーベル平和賞は世界で最も権威ある賞の一つであり、平和への卓越した貢献を称える象徴的な存在として、今日も大きな影響力を保ち続けています。