古代ローマの水道橋(アクアデュクト)は、膨大な量の水を市内へと運び込んだ、当時の技術の粋を集めた土木工学の傑作でした。すべての水道橋が合計でどれだけの水を運んでいたのかについては、推定値に幅があるため正確な数字は判明していません。しかし、当時のローマの大人口の需要を十分に満たせるだけの大量の水が供給されていたことは、研究者たちの共通認識となっています。ここでは、ローマにもたらされた水量のおおよその目安を紹介します。
水道橋全体の総供給量
ローマのすべての水道橋が合計で運んでいた水量は、1日あたり約100万〜250万立方メートル(約3531万〜8828万立方フィート)と推定されています。この規模は、現代の大都市が有する上水道システムにも匹敵するものであり、古代におけるローマの技術力の高さを物語っています。
一人あたりの供給量
古代ローマの推定人口に基づいて計算すると、市民一人あたりの平均的な日々の水供給量は300〜500リットル(約79〜132ガロン)だったと考えられています。この中には、飲料水だけでなく、入浴、公共の噴水、街路の清掃など、さまざまな用途に使われる水が含まれています。
最大級の水道橋「アクア・クラウディア」
ローマ最大級かつ最も重要な水道橋の一つであるアクア・クラウディア(Aqua Claudia)は、1日あたり約18万2000立方メートル(約642万立方フィート)もの水を供給していたと推定されています。皇帝カリグラの時代に着工し、クラウディウス帝によって完成したこの水道橋は、その壮大な規模で知られていました。
知っておくべき留意点
ただし、水道橋が常にフル稼働していたわけではありません。流量は季節やメンテナンス状況、水源の状態などの要因によって変動していました。また、水道橋はローマにとって唯一の水源というわけでもなく、井戸、湧き水、雨水を貯める貯水槽(システルン)なども、都市の水供給を支える重要な役割を果たしていました。