ウェストミンスター条約(1674年)による領土交換
イギリスがオランダからニューヨーク植民地の支配権を正式に獲得したのは、1674年に締結されたウェストミンスター条約によるものでした。この条約は第三次英蘭戦争(1672年〜1674年)の講和条約として結ばれたもので、その結果、オランダは北米のニューヨーク植民地をイギリスに譲渡する代わりに、南米のスリナム植民地を保持することになりました。
背景:オランダの植民地「ニューネーデルラント」
もともと現在のニューヨーク一帯は、オランダ西インド会社が建設した「ニューネーデルラント」植民地であり、その中心地はマンハッタン島に置かれた「ニューアムステルダム」でした。しかし1664年、イギリス艦隊がニューアムステルダムを占領し、ヨーク公(後のジェームズ2世)にちなんで「ニューヨーク」と改称します。
さらに1673年には、第三次英蘭戦争の最中にオランダが一時的にこの地を奪還し「ニューオレンジ」と改称しましたが、翌1674年のウェストミンスター条約によって再びイギリスの手に戻ることとなりました。
ニューヨークとスリナムの交換
条約交渉において、オランダは北米の商業・農業拠点であるニューネーデルラントよりも、砂糖プランテーションによる収益が大きかった南米スリナムの保持を優先しました。この選択により、ニューヨークは正式にイギリス領として確定し、後に北米英領植民地の中核的な港湾都市へと発展していきます。
歴史的意義:オランダ北米支配の終焉
ウェストミンスター条約は、北米大陸におけるオランダ植民地支配の事実上の終わりを告げる出来事でした。以後、ニューヨークはイギリス帝国の重要な貿易拠点として急速に成長し、やがてアメリカ独立革命や建国の歴史において中心的な役割を果たすことになります。