1781年に採択された連合規約は、独立直後のアメリカ合衆国を統治する最初の基本文書でした。しかし、新興国家が直面するさまざまな課題に対応できない多くの弱点があることが次第に明らかになり、規約の抜本的な見直しが求められるようになりました。
1. 強力な中央政府の欠如
連合規約は非常に緩やかな州の連合体を想定しており、中央政府に与えられた権限は極めて限定的でした。その結果、国家的な問題への対処、商業の規制、州間の紛争管理などが困難になり、国家としての一体的な運営が妨げられました。
2. 行政部門・司法部門の不在
連合規約の下では、独立した行政部門や司法部門が設けられず、すべての権限が一院制の議会に集中していました。この体制では法律を効果的に執行したり、法的な紛争を公正に解決したりすることが難しく、政府機能全体の非効率につながりました。
3. 修正には全会一致が必要
規約を修正・変更するには、全州の一致同意が必要とされていました。この厳格な要件により、変化する状況へ柔軟に対応することがほぼ不可能となり、新たな課題への対応力が著しく損なわれていました。
4. 商業規制の権限がない
中央政府には、州間取引や外国との貿易を規制する権限がありませんでした。そのため各州が独自に関税を設けるなど経済的な摩擦が頻発し、全国レベルでの経済政策の調整が不可能な状態でした。
5. 慢性的な財政難
中央政府には課税権限がなく、州からの自発的な拠出金に頼らざるを得ませんでした。歳入の不安定さから政府機能に必要な資金が常に不足し、財政基盤は極めて脆弱でした。
6. 国防と外交の弱さ
常備軍を維持する権限も、一貫した外交政策を実行する力も中央政府にはありませんでした。このため国家の防衛態勢が不十分となり、国内外からの脅威に対して脆弱な状態が続きました。
7. 州間紛争を解決する仕組みの欠如
連合規約には、州同士の争いを仲裁・解決する公式なメカニズムが存在しませんでした。この欠陥は州間の対立を助長し、国家の統一そのものを揺るがす潜在的な危険となっていました。
合衆国憲法への移行
こうした弱点を克服し、より機能的な政府を樹立するため、1787年にはフィラデルフィアで制憲会議が開催されました。そして1789年、連合規約に代わってアメリカ合衆国憲法が発効します。新憲法は、立法・行政・司法の三権分立、抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)の仕組み、そして課税権や通商規制権を備えた強力な連邦政府を確立し、国家的な課題に効果的に対応できる体制を築き上げたのです。