結論から言えば、第一次世界大戦中にベニート・ムッソリーニが支配した「枢軸国」は存在しません。この質問には歴史的事実に関する重要な誤解が含まれています。以下で詳しく解説します。
「枢軸国」という概念自体が第二次世界大戦の産物
そもそも「枢軸国(Axis Powers)」という用語は、第二次世界大戦期にドイツ、イタリア、日本を中心とした同盟諸国を指すために使われたものです。第一次世界大戦(1914年〜1918年)の時点では、この概念はまだ存在していませんでした。したがって、「第一次世界大戦中にムッソリーニが枢軸国を支配していた」という前提そのものが成り立たないのです。
第一次世界大戦当時のムッソリーニ
第一次世界大戦当時、ムッソリーニは政治指導者ではなく、社会党系の新聞記者・ジャーナリストにすぎませんでした。当初は社会党員として戦争に反対していましたが、イタリアの参戦を支持する立場へと転じたため、1914年に社会党を除名されています。その後、自身も兵士として従軍し、負傷によって除隊しました。
権力掌握は戦後の1922年
ムッソリーニが本格的に権力を握ったのは、大戦終結後のことです。1922年、「ローマ進軍」を経て首相に就任し、ファシズム政権の指導者となりました。以降、独裁体制を強化し、イタリアをファシズム国家へと変貌させていきます。
第二次世界大戦における枢軸国
「枢軸国」と呼ばれる陣営が形成されたのは第二次世界大戦です。ドイツ、イタリア、日本の三国は1940年の日独伊三国同盟を締結し、アメリカ、イギリス、ソ連などを中心とする連合国と対峙しました。この同盟の中核を担ったのが、まさにムッソリーニ率いるファシスト政権下のイタリアだったのです。
まとめると、ムッソリーニは第一次世界大戦中にはいかなる国も支配しておらず、戦後に台頭してイタリアの指導者となり、そのイタリアが第二次世界大戦において枢軸国の一翼を担った——これが正しい歴史的経緯です。