
ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)は、約23万年前から約2万9000年前にかけて、ヨーロッパおよび西アジアの一部地域に生息していたヒト属の一種です。彼らは寒冷な気候に高度に適応しており、脳の容積は現代人より約10%も大きいという特徴を持っていました。平均身長は約1.65mとやや低めでしたが、非常に筋肉質で頑丈な体つきをしていました。
また、ネアンデルタール人特有の石器製作技術は「ミュステリアン文化」と呼ばれ、旧石器時代中期を代表する石核技法として知られています。この文化では、剥片石器を中心とした洗練された道具作りが行われていました。
ネアンデルタール人の頭蓋骨の特徴
- 上項窩(じょうこうか):頭蓋骨の後頭外隆起の上部にあるくぼみ
- 後頭結節の発達
- 顔面中部が前方に突出している
- 頭蓋骨が後方に長く伸びている
- 眼窩の上に弧を描くように突き出た強い眉弓(びきゅう)
- 脳容量は1200〜1700cm³(現代人よりやや大きい)
- あご(オトガイ)がない
- 額が低く、ほとんど存在しない
- 奥歯の後ろに空間がある
- 鼻の穴が広い
- 鼻孔の側面に骨の隆起がある
- 内耳の迷路骨の形状が現代人と異なる
頭蓋骨以外の身体的特徴
- 現代人よりもはるかに筋肉質
- 大きくて頑丈な指
- 非常に丸みを帯びた肋骨(バレル型の胸郭)
- 骨盤の形状が異なる
- 大きな膝蓋骨(ひざざら)
- 長い鎖骨
- 短く湾曲した肩甲骨
- 力強く湾曲した大腿骨
- 非常に短い脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)
これらの身体的特徴は、氷河期の厳しい寒冷環境への適応の結果であると考えられています。頑丈な骨格と発達した筋肉は、過酷な環境での狩猟活動や体力を要する生活様式に適していたのです。