古代の歴史

世界人権宣言とは?採択の経緯から内容・現代の課題まで徹底解説

世界人権宣言は、国際連合(UN)によって起草され、1948年12月に採択された歴史的文書です。すべての人間が持つべき基本的な権利を定めています。

世界人権宣言(UDHR)は、1946年から1948年にかけて国際連合の委員会によって起草されました。1948年に開催された国連総会において採択され、発効しました。この文書は30の条項で構成されており、人種、宗教、社会的地位、性別などに関わらず、すべての人間が有すべき基本的な権利を定めています。

世界人権宣言は、人権という理念を世界的に定着させ、人類の向上と不平等との闘いに取り組む活動を力づけたという点で、極めて重要な意義を持っています。

世界人権宣言の策定経緯

世界人権宣言は、第二次世界大戦中に起きた出来事を背景として、1946年に起草が始まりました。人類史上最大の紛争における特筆すべき悲劇としては、ホロコーストや日本の2都市への原子爆弾の投下が挙げられます。

世界人権宣言の起草は、戦争犯罪を犯したナチスの関係者がニュルンベルクに設置された軍事法廷で裁かれていた時期と同時進行で行われました。法廷の運営期間中に、ドイツが600万人のユダヤ人をどのように虐殺したのかという詳細が明らかになり、世界はホロコーストの恐怖を知ることとなりました。

こうした背景のもと、世界各国の指導者たちは、設立されたばかりの国際連合を通じて、全人類のための基本的人権を列挙する文書を作成することを決意しました。この取り組みは、ジェノサイドや戦争中に犯された数々の残虐行為が二度と繰り返されないようにすることを目的としたものでした。

世界人権宣言起草委員会

世界人権宣言は、国連の人権問題を担当する部門から組織された委員会によって作成されました。委員会の中心メンバーは、外交官や法律家など影響力のある9名で構成され、国連アメリカ代表のエレノア・ルーズベルトが議長を務めました。

委員会の主なメンバーは以下の通りです。

  • エレノア・ルーズベルト(アメリカ)
  • 張彭春(中国)
  • チャールズ・デュークス(イギリス)
  • アレクサンドル・ボゴモロフ(ソビエト連邦)
  • ジョン・ピーターズ・ハンフリー(カナダ)
  • エルナン・サンタ・クルス(チリ)
  • ルネ・カサン(フランス)
  • ウィリアム・ホジソン(オーストラリア)
  • チャールズ・マリク(レバノン)

起草委員会が作業を完了すると、宣言は国連加盟国による承認へと進みました。文書の採択は、1948年の国連総会における決議217号を通じて行われました。投票した58の代表団のうち、48カ国が賛成、8カ国が棄権、2カ国は投票を行いませんでした。

世界人権宣言に署名している国はいくつある?

現在、国連には合計193の加盟国があり、そのすべてが世界人権宣言の署名国です。日本も1956年の国連加盟以降、この理念を支持しており、人権尊重を重要な外交原則の一つとしています。

世界人権宣言の内容とは?

世界人権宣言には、すべての人間の基本的人権に関する問題を扱う合計30の条項が含まれています。宣言が扱う多岐にわたるテーマの中には、信教の自由、表現の自由、財産に対する権利、そして拷問や奴隷制といった慣行への非難などが含まれます。

第1条は、世界人権宣言の基礎とされる最重要の条項であり、以下のように謳われています。

「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」

当初、この条項は「すべての人間(all men)」という表現で起草されましたが、性別による解釈の偏りを防ぐため、「すべての人間(human beings)」という表現に置き換えられました。この条文の構成には、権利よりも人間の尊厳が先行するという思想が込められています。

また、世界人権宣言は労働に関する問題にも言及しており、すべての人間が公正で有利な条件を備えた職業を自由に選ぶ権利を持つことを定めています。さらに、有給休暇の権利や、余暇および文化へのアクセスの権利についても規定されています。

今後の課題

世界人権宣言が人類にとって大きな前進であったことは否定できません。しかし同時に、人道的で公正な社会を築くという点において、人類にはまだ長い道のりが残されていることも事実です。

あらゆる進歩があったにもかかわらず、私たちは今日でも、世界各地で行われる拷問、虐殺、テロ攻撃に関する報道に日常的に接しています。さらに、数百万人もの人々が依然として奴隷制や性的搾取の被害を受けており、また性的指向、宗教、民族などを理由に迫害される人々も少なくありません。

先進国とされる国々においても、貧困、飢餓、水不足、十分な雇用機会の欠如といった問題は深刻です。過去には、権力者が拷問を公然と用いた歴史を持つ国もあり、人権侵害は決して過去の話ではありません。だからこそ、世界人権宣言は、より公正で平等な未来をすべての人々のために守り抜くための、根本的に重要な文書なのです。