古代の歴史

フィル・ボルグ――アイルランド神話における六つの種族の一つ

フィル・ボルグ(Fir Bolg)は、アイルランド神話において、島へ相次いで移り住んだとされる六つの種族の一つです。

『来寇の書』にみる到来

『来寇の書』(Lebor Gabála Érenn)によれば、フィル・ボルグはネヴェド(Nemed)一族の末裔であり、ギリシャから渡って四番目にアイルランドへ到来したと伝えられます。彼らの後にはトゥアハ・デ・ダナン(Tuatha Dé Danann)が続きました。両勢力は第一次マグ・トゥレッドの戦い(Cath Maige Tuired)で激突し、フィル・ボルグは敗北して島の支配権を失ったといわれています。

名前の由来

「フィル・ボルグ」という名称は、大陸のケルト系部族であるベルガエ人(Belgae)と結び付けられることがありますが、この説には説得力が乏しいとされています。

五州への分割と王制の導入

先住の種族たちとは異なり、フィル・ボルグは島の景観形成にはほとんど関与しなかったものの、伝承では重要な功績が彼らに帰されています。それが、アイルランドを五つの州に分割したことです。すなわち、四方の方角に対応するアルスター(Ulster)、レンスター(Leinster)、マンスター(Munster)、コノート(Connacht)の四州と、島の中心とされるウシュネフ(Uisnech)の丘を囲むミーズ(Meath)です。

さらに、フィル・ボルグは王制とその統治の掟をアイルランドにもたらしたとも語り継がれています。