
FNミニミ(Mini-mitrailleuse=小型機関銃の意)は、1970年代にベルギーの国営兵器メーカーであるFNハースタル社が設計した軽機関銃です。アメリカ軍向けに改修されたモデルは「M249 SAW」と呼ばれ、数多くの映画やビデオゲームにも登場する、世界的に有名な分隊支援火器です。なお「SAW」は「Squad Automatic Weapon(分隊自動火器)」の略称です。
概要
本機は5.56mm NATO弾を使用します。具体的には、当初この機関銃のために開発された「SS109」弾頭を採用しています。この口径の弾薬は通常アサルトライフルで使用されるものであり、中機関銃で一般的な弾薬に比べ射程や威力では劣るものの、取り回しが良く軽量であるため、一人の兵士が扱える高い機動性を実現しました。
さらに高い発射速度を有しており、防御・攻撃の両面で効果的な火力支援を提供できます。作動方式はガス圧利用式で、FN MAG中機関銃を置き換えるのではなく、それを補完・支援する目的で設計されました。実際の戦闘分隊では、汎用支援機関銃(FN MAG、M60E4、AAT-52など)1丁に加え、FNミニミ2丁という編成が一般的です。
また、7.62×51mm NATO弾を使用するバージョンも開発されており、フランス陸軍などで採用されています。
空挺部隊向けモデル(TAP)
パラシュート部隊用のミニミには、予備銃身や給弾ベルト/マガジン用ホルダーが装備されます。これは地上目標に対して直接使用する、持続射撃可能な集団用自動火器として運用されます。
主要諸元
- 口径:5.56×45mm NATO(SS109)
- 全長(ストック展開時):918mm
- 本体重量:約7.2kg
- 給弾方式:ソフト式弾帯またはM16系マガジン
- 理論発射速度:毎分750〜950発
構成パーツ
この武器は主に以下の8つの主要部分から構成されています。
- レシーバー(機関部)
- 銃身
- 遊底部品一式
- 給弾機構
- 発射機構
- 後尾栓およびストック
- 二脚
- 付属品一式
採用国と輸出状況
ベルギー本国では、クラシックな固定チューブラーストックを持つM1型と、折りたたみストック+短銃身仕様のパラタイプM3が使用されています。
輸出先はブラジル、チリ、アラブ首長国連邦、フランス、ギリシャ、インドネシア、アイルランド、イタリア、マレーシア、モロッコ、メキシコ、ネパール、ノルウェー、オランダ、ポーランド、イギリス(L108/L110 パラ)、スウェーデン(Ksp 90/Ksp 90B)、スロベニア、スリランカ、スイス(LMg 05)、タイ、ベネズエラなど多岐にわたります。
なお、戦闘任務に就く自動小銃手1名あたりの理論携行弾数は3日間で800発とされています。
M249 SAWとその派生型
アメリカ軍は本機を「M249 SAW(Squad Automatic Weapon)/M249 パラ」として制式採用し、FNハースタル社の現地子会社が国内生産を行っています。
改良版ではポリマー製ストックや冷却スリーブが採用され、多くの場合ドットサイトが装備されています。アルゼンチン、ノルウェー、タイ、フィリピンなどへも輸出され、日本では住友重機械工業の子会社がライセンス生産を実施しました。
アメリカ陸軍はさらに、短縮化され伸縮式ストックとフォアグリップを備えた「M249 SPW」、そこから派生しフォアグリップを廃して固定ストックとした「Mk 46 Mod 0」も使用しています。歩兵戦闘班1個あたりの理論装備数はM249が2丁です。
C9(カナダ)
カナダでは「C9」の名称で生産されています。現在カナダ軍が使用しているのはC79 Elcan望遠照準器を搭載した「C9A1」であり、今後導入予定の「C9A2」は短縮銃身とM4A1ストックへの換装が特徴です。生産はFNハースタル社のライセンスに基づき、コルト社のカナダ子会社コルト・カナダが担当しています。C9はニュージーランド軍の制式装備にも含まれています。
F89(オーストラリア)
NATO加盟国外では、オーストラリアがFNハースタル社のライセンスによりタレス・オーストラリア社で「F89」として生産しています。ミニミM1からの主な変更点は、長いフラッシュハイダー、ピカティニーレール式マウントシステム、1.5倍スコープ、固定式キャリングハンドルです。オーストラリア軍および東ティモール軍で運用されています。
各モデルの詳細諸元
ミニミ M1
- 使用弾薬:5.56×45mm NATO
- 二脚装備時の空重量:6.85kg
- 装填時重量(200発箱):10.01kg
- 全長:1,038mm
- 銃身長:466mm
- 給弾:30発または50発マガジン、100発または200発弾帯
- 理論発射速度:毎分700〜1,100発
ミニミ パラ
- 使用弾薬:5.56×45mm NATO
- 二脚装備時の空重量:6.5kg
- 装填時重量(200発箱):10.01kg
- 全長:900mm(ストック折りたたみ時725mm)
- 銃身長:350mm
- 給弾:30発または50発マガジン、100発または200発弾帯
- 理論発射速度:毎分700〜1,100発
パラタイプには交換可能な銃身が2本付属し、過熱防止のため200発ごとに交換することが推奨されています。
ミニミ 7.62×51mm NATO(Mk 48)
- 使用弾薬:7.62×51mm NATO
- 重量:空重量8kg、100発弾箱装備時11.5kg
- 有効射程:1,000m(標準版の600mに対して大幅延伸)
今世紀初頭、アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)は、徒歩行動する歩兵が運用できる7.62×51mm NATO弾仕様の軽機関銃の入札を実施しました。これに応えたFNハースタル社は同口径のミニミ版を開発し、アメリカ軍は「Mk 48」として採用しました。
油圧式緩衝装置のおかげで、反動は5.56mm NATO版のミニミとほぼ同等に抑えられています。軽量化は部品の精密な計算によって達成されており、実戦での要求を十分に満たす一方、より重く頑丈なFN MAGを好む者もいるのが実情です。