古代の歴史

ERC 90 サガイエ(フランス)|6輪駆動軽装甲車の性能と特徴

ERC 90 サガイエ(フランス)|6輪駆動軽装甲車の性能と特徴

ERC-90(仏語:Engin à Roues, Canon de 90mm=車輪走行式・90mm砲搭載車両)は、「サガイエ(Sagaie=投げ槍の意)」の愛称で知られるフランス製の6輪駆動軽装甲車です。パナール(Panhard)社が自社資金で開発した本車は、1970年にフランス陸軍が実施した装甲前方偵察車の設計競争で得られた技術成果を活かして誕生しました。なお、この競争そのものはルノー社が制しています。

開発の経緯

ERC(砲搭載偵察車両)90 サガイエは、パナール社が手がけてきたAML-60およびAML-90の後継車として位置づけられています。約8トンの車体を持つ水陸両用の6輪駆動車で、先代のEBR装甲車と同様、中央の車輪は路上走行時には持ち上げられ、障害物を乗り越える際には下降して接地する独特の機構を備えています。フランス陸軍において、ERC 90はAMLシリーズの実質的な後継車とみなされてきました。

導入の可否については議論が続いていましたが、1980年12月に50両の購入が正式に決定しました。これはフランス陸軍にとって、輸出専用として設計された車両を調達した初めての事例となります。当初、ERC 90は必要に応じて即座に展開できるようアフリカ地域へ先行配備される計画でしたが、最終的にはフランス国内に留め置かれることが決まり、配備予定部隊の選定はこの時点では未定のままでした。

主要諸元

乗員:3名(操縦手・砲手・車長)
全長:7.7m(TS90砲塔搭載時)
全幅:2.50m
全高:2.25m
戦闘重量:8.3t〜9.5t
装甲:厚さ10mmの鋼板。30mの距離からの7.62mm弾に対する防護力を有する

兵装

主兵装:90mm CN90 F1戦車砲(旧称:D-921F1)または90mm CN90 F4戦車砲(旧称:スーパー90)×1門
携行弾数:20発
副兵装:7.62mm AANF1機関銃×2挺(弾薬2,000発)

機動性

エンジン:プジョーV6(PRVエンジン/ガソリン)またはMTU過給付き直列4気筒(ディーゼル)
出力:155馬力(ガソリン・最新型)/170馬力(ディーゼル)
変速機:前進6段・後退1段
懸架装置:コイルスプリング+油圧ダンパー
路上最高速度:90km/h(ガソリン)/95km/h(ディーゼル)
パワーウェイトレシオ:16.3馬力/t(9.5t時)〜18.7馬力/t(8.3t時)
燃料搭載量:242L
航続距離:730km(ガソリン)/800km(ディーゼル)

火力性能の特徴

ERC 90の最大の強みは、AMLよりもはるかに強力な90mm砲を搭載している点にあります。主砲から発射されるのは「矢型弾(アローシェル)」とも呼ばれる羽根安定式の装弾筒徹甲弾で、その初速は毎秒1,350mに達します。

NATO三重標的――厚さ10mm・25mm・60mmの装甲板3枚を330mm間隔で配置し、60度の傾斜角を与えた標的――を2,000mの距離で貫通することが可能です。この高い貫通力により、ERC 90はソ連製T-54やT-55といった中戦車クラスの相手にも十分に対抗しうる火力を備えています。