フリゲートとは

現代の海軍において、フリゲートは空母や揚陸指揮艦、原子力潜水艦といった高価値艦艇の護衛をはじめ、対艦・対潜・対空戦闘、特定海域の哨戒監視など、幅広い任務を担う水上戦闘艦です。
「フリゲート」という言葉はきわめて多様な艦種を指しますが、その語源は地中海にあります。イタリア語の「fregata」、スペイン語・ポルトガル語の「fragata」、英語の「frigate」、ドイツ語の「Fregatte」など、多くの言語でよく似た形で受け継がれてきました。
現代軍事用語における定義
現代の軍事用語では、フリゲートは中型の水上戦闘艦とされ、その大きさ・兵装・装備によって次のような能力が求められます。
- 悪天候でも外洋を航行できること
- 潜水艦・航空機・他の艦船に対する攻撃と防御が可能なこと
- 必要に応じて地上目標を攻撃できること
- 単独、あるいは艦隊の一員として行動できること
NATO加盟国海軍における分類
- 船体番号には「F」が冠される
- コード呼称は「FF」「FFG」(艦対空ミサイル装備)「FFH」(ヘリコプター搭載艦)
フランス海軍における分類
フランス海軍では、フリゲートを2つの等級に分類しています。1等艦にはジョルジュ・レイグ級、カサール級、さらに「ホライズン」型(フォルバン、シュヴァリエ・ポール)が含まれ、これらは駆逐艦に付与される「D」の記号で扱われます。一方、2等艦にはラファイエット級やジェルミナル級などが含まれ、こちらは「F」の記号が用いられます。
排水量はおおむね2,000トンから7,000トンの範囲に収まります。これより小型ならコルベットや哨戒艇、より大型で汎用性が高いものは巡洋艦と呼ばれます。
蒸気フリゲートから巡洋艦へ
蒸気機関が実用化された時期(1840〜1860年頃)、蒸気フリゲートは当時最も高速な艦でした。しかしその後、装甲の普及とともに19世紀末には巡洋艦へと発展し、「フリゲート」という呼称は一時姿を消すことになります。
第二次世界大戦と護衛フリゲートの復活
「フリゲート」という名称が復活したのは、第二次世界大戦中の英国海軍においてでした。ここでいうフリゲートとは、コルベットより大きく駆逐艦より小さく、輸送船団の護衛を主任務とする艦を指しました。
これらの艦は対潜兵装と対潜装備を中心に構成され、魚雷に代表される対水上戦闘用の兵装は省略されていました。速力では駆逐艦に劣りましたが、これは15ノット以下で航行する輸送船団の護衛が主任務だったためです。その一方で、荒天下でも大西洋全航路にわたって任務を遂行する必要があったため、耐航性と持久力に優れていました。その任務内容と特性は、米海軍の護衛駆逐艦ときわめて近いものでした。
現代のフリゲート
今日では「フリゲート」という呼称は、各国海軍の伝統に応じて「駆逐艦」とほぼ互換的に使われるようになっています。
1960年代から70年代にかけて、対艦ミサイルと対空ミサイルの導入・普及はフリゲートの設計思想に大きな変革をもたらしました。第二次世界大戦以来の役割特化の流れを受け継ぎ、フリゲートは対潜戦または対空戦に特化した艦へと進化しましたが、同時に砲熕兵器やエグゾセのような艦対艦ミサイルによって対水上戦闘能力も維持しています。また、現代のフリゲートの多くはヘリコプターを搭載しており、対潜・対艦戦闘(空対艦ミサイルの運用)、偵察、救難、連絡など多様な用途に活用されています。
1950年から70年にかけて、フランス海軍や米海軍などは、フリゲートの名のもとに最初の汎用ミサイル搭載艦を建造しました。たとえば1960年代に相次いで進水したフランス初のミサイル搭載フリゲート、シュフラン級(シュフラン、デュケーヌ)は、約6,000トンの排水量で速力34ノットを発揮しました。また、トゥールヴィル級などの対潜フリゲートは、船体装着式・曳航式のアクティブ/パッシブ・ソナーや魚雷、魚雷搭載ミサイルを備えるほか、吊下式ソナーや音響浮標、魚雷を運用するヘリコプターも搭載しています。
ステルス化と高性能化への道
フリゲート建造技術の進化は、ミサイル防御能力を備えたステルスフリゲートの登場につながりました。クロタール短距離防空ミサイルを装備したラファイエット級や、ASTER艦対空ミサイルを装備したホライズン級がその代表例です。これらの艦は、レーダー波の反射を最小限に抑えるよう幾何学的形状が工夫されています。
誕生当初は地味な護衛艦にすぎなかったフリゲートも、21世紀初頭にはホライズン級において、空母に次ぐ欧州最強クラスの水上戦闘艦へと変貌を遂げました。レーダー信号処理技術の高度化、自動化と戦闘システム管理の向上、防空・対ミサイルミサイルの性能強化により、約180km先の水上艦、100km先の航空機、数十km先の潜水艦による脅威に対して自艦および艦隊の防衛を行い、400km以上・全方位360度にわたって海上ないし陸上の空域を管制できるまでになっています。

さらに、最初の6隻の仏伊共同開発FREMM型フリゲートにはMDCN巡航ミサイルが搭載されました。2015年5月19日以降、フランス海軍は米海軍に次いで、水上艦から地上目標への攻撃能力を持つ世界で2番目の海軍となったのです。