ブレン軽機関銃(BREN)とは

ブレン(BREN)は、1937年にイギリス軍へ制式採用された軽機関銃です。その原型となったのはチェコスロバキア製のZB-30軽機関銃で、「ブレン」という名称は開発に関わったチェコ・ブルノ(Brno)の工廠と、イギリス・エンフィールド(Enfield)王立造兵廠の頭文字を組み合わせたものです。
ブレン Mk1/Mk2 の主な諸元
- 使用弾薬:.303ブリティッシュ(7.7×56mmR)/8mmモーゼル(中国向けモデル)
- 全長:1,156mm
- 銃身長:635mm
- 重量(空の状態):10.2kg
- 満装マガジンの重量:約1.05kg
- 実戦重量:11.25kg
- 装弾数:30発
- 理論発射速度:毎分500発
ライセンス生産と第二次世界大戦での展開
1935年5月、イギリスはZB-26の近代化改良型にあたるZBG-34の製造ライセンスを取得しました。第二次世界大戦が勃発すると、オーストラリア(リスゴー工廠)、インド(イシャポール工廠)、カナダの各工廠が生産に加わり、約28万丁を製造したエンフィールド造兵廠やイギリスのモノタイプ社とともに、連合国、中国、そしてドイツや日本に対抗するレジスタンス組織(FFIや自由フランス軍など)へ武器を供給しました。
設計上の特徴

ブレンはMark 1からMark 4までの4つの基本型が生産されました。各型の違いは、製造工程を簡略化するための細部の変更と銃身長の差にあります。歩兵部隊にはMk1とMk2が配備され、大戦末期に登場したMk3とMk4は空挺部隊向けでした。また、専用の三脚を使えば対空兵器としても機能し、ユニバーサル・キャリアー(ブレン・ガン・キャリアー)の主武装としても搭載されました。
使用弾薬の薬莢がテーパー状になっているため、マガジンは湾曲した形状を採り、レシーバー上方から挿入されます。このため照尺とフロントサイトは左側にオフセットして配置されているのが外見上の大きな特徴です。実戦ではマガジンを満装せず、ばねへの負担を抑えるため28〜29発程度で運用されることもありました。
さらに、多くの軽機関銃と異なりブレンは銃身が着脱式で、過熱した際に素早く交換できる点も優れた設計です。ストック、ピストルグリップ、銃身交換用ハンドルには木製パーツが使われています。
信頼性の高さから将兵に強く信頼された本銃は、1938年から1958年まで生産されました。1958年以降、.303ブリティッシュ弾仕様の多くのブレンは7.62×51mm NATO弾仕様のL4へ改造され、L1A1小銃やL7汎用機関銃との弾薬統一を図りながら、イギリス軍および多くの英連邦諸国で運用が続けられました。ブレンは第一次インドシナ戦争をはじめ、朝鮮戦争、フォークランド紛争、湾岸戦争など、数多くの紛争に投入されています。
バリエーション
ブレンは1940年頃から1990年頃まで半世紀近くにわたり運用されたため、14もの派生型が存在します。
Mk1
1938年8月から生産された最初期のモデルで、原型となったチェコ製のZB-30に極めて近い設計です。銃床下部に折りたたみ式の支持脚を備えているのが特徴です。
1940年、イギリスの技術者たちは生産性向上のため最初の改修を実施し、簡略化版のMk1(M)を生み出しました。
Mk2
1941年に登場したMk2は、Mk1をさらに簡略化したモデルです。モノタイプ社が主体となり、複数の下請けメーカーから供給される部品を用いて生産されました。ブレンシリーズの中で最も多く生産された量産型です。なおカナダでは、蒋介石率いる中国国民党軍向けに8mmモーゼル弾仕様の派生型も製造されました。