古代中国の人々は、自然や人生のあらゆる側面に神々の存在を感じて暮らしていました。本記事では、土から人間を造った女神をはじめ、火や金といった五行の精霊、幸運・繁栄・戦争・幸福を司る神々まで、「中華(中原の国)」に住まう人々の心を捉えた重要な神格をテーマ別に紹介します。
創世神話と上古の神々
盤古(パングー)
天地開闢における最初の人間。宇宙の卵を割って天と地を分けたとされ、死後にはその両眼が太陽と月に、血は川に、髪は夜空の星々になったといいます。
女媧(ヌワ)
人の体に鳥の足と蛇の尾を持つ女性の神。黄土を捏ねて人間を創った創世の女神として広く知られています。
伏羲(フーシー)
東方を統べる神。東は春に対応するとされました。
黄帝(ファン・ディー)
「黄色い君主」の意。炎帝の兄弟にあたり、最高の支配者であると同時に中央の方角を司る神でもありました。
炎帝(イェン・ディー)
別名・神農(シェンノン)、通称「赤き君主」。太陽神であり医術の神で、南方の支配者です。人々に穀物の播種を教え、光と暖かさを与えた慈悲深い神として、人の体に牛の頭を持つ姿で描かれました。
帝俊(ディー・ジュン)
至高の支配者にして最初の祖先神。後にその信仰は黄帝崇拝にとって代わられました。
顓頊(ジュアンシュウ)
北方(冬)を司る神。人の顔に豚の鼻、鱗に覆われた体、癒合した脚と猪の蹄を持つ異形の神で、水の精霊がその統治を助けたと伝えられます。
方位・四季・自然を司る神々
蓐収(ジューショウ)
秋の神にして天界の刑罰を司り、金(金属)の精霊でもあります。
句芒(ゴウモウ)
春の神であり、木(樹木)の精霊。
少昊(シャオハオ)
西方の支配者。西方は鳥の国であり秋の座と考えられ、その大臣も家臣もすべて鳥だったと伝えられます。
祝融(ジューロン)
中国の火の精霊。二頭の龍が引く雲の戦車に乗るといいます。
共工(ゴンゴン)
水を司る邪神。蛇の体に人の顔、赤い髪を持つ姿で描かれます。
白虎(バイフー)
「白い虎」。西方を守護する精霊の一柱です。
北斗(ベイドウ)
雨を司る神々にして、人間の生と死を支配する存在。
斗姆(ドウムー)
生と死を掌り、光の神性と戦乱からの守護を担う神。四つの顔、八本の腕、三つの目を持つ姿で描かれます。
電母(ディエンムー)
稲妻の女神。色鮮やかな衣をまとい、両手に二枚の鏡を持つ女性の姿で表されます。
幸福・富・繁栄の神々
比干(ビーガン)
文財神(文官系の財神)。中国神話では、神々はしばしば文官系と武官系に分けられました。
郭子儀(グオ・ズーイー)
幸福をもたらす神の一柱。
関帝(グアンディー)
戦争と富の神。暗紅色の顔で描かれるのが特徴です。
布袋和尚(プータイ)
「袋を持った僧」。喜び、繁栄、満足を司る神です。
碧霞元君(ビーシャ・ユエンジュン)
「青雲の貴婦人」とも呼ばれ、子供と狐の守護神。聖なる泰山の主の娘とされ、幼児期の各時期を守る六柱の女神が付き従いました。
観音(クアンイン)
救済の女神にして、家庭の女性を守り子を授ける神。縄、あるいは柳の枝を挿した瓶を持つ多臂の女性像として表現されます。
学問・医術・技芸の守護神
文昌帝君(ブンショウテイクン)
文学と詩人の守護神の一柱。魁星(カイスィン)と朱衣(チューイー)という二人の助手を従えます。
扁鵲(ビェンチェオ)
医師たちの守護聖者。鳥の嘴と蝙蝠の翼を持つ姿で描かれました。
韋固(ウェイグー)
医薬の守護神。
杜康(ドゥーカン)
酒商人の守護神にして、酒の発明者とされる人物。
冥界と霊的な存在
地蔵王(ディーザンワン)
地獄の最高主宰者にして、地下の法廷から魂を救い出す菩薩。十人の判事が補佐しました。片手に鉄の錫杖、もう片手に光る宝珠を持つ人間の姿で描かれます。
鬼(グイ)
死者から生まれる悪霊の総称。
鬼母(グイシュー)
「悪魔の母」にして、生と死の守護者。虎の頭、龍の脚、大蛇のような目を持つ女性神です。
瘟神(ウェンシェン)
疫病(流行り病)の精霊たち。春は張元伯、夏は劉元達、秋は趙公明、冬は鍾仕貴、中央は史文業がそれぞれ司るとされます。
帝江(ディージャン)
混沌(カオス)を象徴する古代の神。六本の脚と四枚の翼を持つ鳥の姿で表されます。
天界の武将と守護者
王霊官(ワンミンググァン)
天界の将軍の一人で、寺院の門を守護する神。鞭を手にした、赤ら顔で三つの目を持つ巨躯の男として表されます。
韋駄(ウェイトォ)
天界の武将にして僧院の守護神、南方の守り手。法を守護する精霊たちの長でもあります。
東王公(ドゥワングン)
東方の主宰者にして仙人たちの守護神。鳥の顔と虎の尻尾を持ち、身長三メートルに及ぶ巨人とされます。
陸吾(ルーウー)
天宮の政務を取り仕切る神。人の顔を持ち、九本の尻尾を持つ虎の姿で知られます。
出典:百科事典的参考資料より