古代の歴史

ムルシア王国|スペインのイスラム王朝の歴史

ムルシア王国は、スペイン南東部の都市ムルシア(アラビア語:ムルスィーヤ/Mursīyah)を中心とした、独立したイスラム(ムーア人)王朝です。同王国は歴史上二度成立しました。一度目は11世紀、後ウマイヤ朝(スペイン・ウマイヤ朝)の崩壊後に誕生し、二度目は12世紀、北アフリカのアルモラヴィド朝の支配に対抗するイベリア半島ムスリム勢力の動きの中で復活しました。

王国の成立

初代君主アブド・アッラフマーン・イブン・ターヒルは1063年に独立を宣言しました。ただし彼は後ウマイヤ朝の統一という建前を保つため、「王(マリク/malik)」の称号ではなく「大臣(ハージブ/ḥājib)」の称号を用いました。

アルモラヴィド朝との関係と再独立

一時期、ムルシアはアルモラヴィド朝とキリスト教国カスティーリャとの間で仲介役を担っていましたが、やがて宗教的な心情からアルモラヴィド朝へと傾いていきます。ムスリム系スペインの群雄割拠を平定したアルモラヴィド朝のカリフ、ユースフ・イブン・ターシュフィーンは1092年にムルシアを占領し、自らの帝国に組み込みました。

しかしアルモラヴィド朝への不満が広まるなか、1144年にアブー・ジャアファル・イブン・フードが蜂起し、ムルシアの独立が回復されました。その後、この王国はバレンシアと統合されています。

アルモハード朝からカスティーリャ支配へ

1168年以降、ムルシアは北アフリカのアルモハード朝の支配下に入りました。そして1243年、キリスト教勢力であるカスティーリャ王国がこの地域をほぼ戦闘なしに占領した際にも、ムルシアは独自の自治的な行政制度を保持し続けました。