パジリク(Pazyryk)は、カザフスタンのアルタイ山系、ボリショイ・ウラガン川渓谷の乾燥した谷口に位置する、スキタイ系遊牧民の墓地遺跡です。紀元前5世紀から3世紀にかけて造営されたこの遺跡には、5基の大型古墳(クルガン)と9基の小型古墳が存在し、1929年、そして1947年〜1949年にかけて発掘されました。
西遷以前のスキタイ文化を知る最良の情報源
パジリク遺跡は、スキタイ人たちが西アジアやヨーロッパへ移住する前の習俗や工芸品を伝える、おそらく最も豊かな情報源として知られています。寒冷な高地の凍土が有機物を保存したことで、通常は朽ちて残りにくい木製品や織物、皮革製品まで良好な状態で発見された点が大きな特徴です。
主な出土品
遺跡からは、全身に入れ墨を施されたミイラ化した男性の遺体が見つかっており、古代ステップ遊牧民における身体装飾や入墨文化を示す極めて重要な資料となっています。
また、現存する最古級の織物類も出土しており、当時の高度な織物技術を今に伝えています。さらに、ハープ(竪琴)や太鼓といった楽器の断片も確認されており、遊牧民社会における音楽文化の一端もうかがわせます。
まとめ
これらの発見により、パジリク遺跡はスキタイ研究における最重要遺跡の一つと位置づけられています。ユーラシア草原地帯の古代文化や遊牧民の暮らしを理解するうえで、欠かすことのできない存在です。