「モーセは大ピラミッドのそばで育った」というイメージを持つ人は少なくありませんが、実はこれは誤解です。聖書の記述と歴史的な地理をもとに整理すると、モーセが育った場所はギザの大ピラミッドからかなり離れた場所でした。
モーセの出生と育ち
モーセはエジプトで生まれたヘブライ人です。旧約聖書の「出エジプト記」によれば、幼いモーセは籠に入れられてナイル川に流され、それをファラオ(エジプト王)の娘が見つけ、自らの息子として宮殿で育てたと伝えられています。
大ピラミッドと王宮の距離
ギザの大ピラミッド群は、現在のカイロ中心部から南西へ約40キロメートル(約25マイル)の場所に位置しています。
一方、モーセが育てられたのはナイル・デルタ地域の王宮とされており、この場所はカイロから北へ約160キロメートル(約100マイル)離れています。つまり、モーセの育った環境と大ピラミッドの間には、直線距離でも100キロメートル以上の隔たりがあったことになります。
なぜ誤解されるのか?
映画や絵画などの作品では、モーセの物語にピラミッドが登場することが多く、「モーセ=ピラミッドのそばで育った王子」という印象が広まったと考えられます。しかし、当時のエジプトの政治の中心はすでにデルタ地域へ移っていたため、王族が暮らす宮殿もそこにあったのです。
このように、聖書の記述を地理的な事実と照らし合わせると、モーセが大ピラミッドの近くで育ったという説は成り立たないことがわかります。