古代の歴史

古代エジプトのミイラ作り:脳はどのように処理されたのか?

古代エジプトのミイラ化プロセスでは、遺体から脳が摘出されていました。一見不思議に思えるこの習慣には、当時の人々独特の宗教観が深く関わっています。

なぜ脳は取り除かれたのか?

古代エジプト人は、心臓こそが知性・記憶・感情の中心であると確信していました。彼らにとって脳は、その働きがほとんど理解されていない不要な器官であり、来世において何の役にも立たないものだったのです。

一方、心臓は「心臓の計量」と呼ばれる来世の審判において、死者の生前の行いを判定する重要な器官だと信じられていました。そのため心臓は丁寧に扱われ、体内に残されるか、専用の容器に収められて再び埋葬されることが多かったのです。

脳の摘出方法

脳の除去は、鼻孔から細長いフック状の道具を挿入して行われました。ミイラ職人はこの道具を使って脳を細かく砕き、液体状になるまで攪拌したうえで、頭蓋骨から排出させました。

また、時期によっては頭蓋骨の底にある篩骨(しこつ)を破壊し、鼻腔経由で脳組織を効率よく取り出す手法も用いられたことが、研究によって明らかになっています。

現代に残る謎と発見

興味深いことに、すべてのミイラから脳が除去されていたわけではなく、時代や地域、埋葬者の身分によって処理方法はさまざまでした。CTスキャンなどの最新技術による調査により、ミイラ作りの技術が世代を超えて進化していった様子が次第に解き明かされつつあります。