古代の歴史

「Y」で始まる中世の言葉は何?答えは古英語の「ye」

アルファベットの「Y」で始まる中世英語の言葉として、まず挙げられるのが「ye(イェ)」です。一見すると現代人には馴染みが薄いこの言葉ですが、実は私たちが日常的に使っている「you」の直接の祖先にあたる、とても重要な単語なのです。

「ye」とはどんな言葉?

「ye」は中世英語において、二人称複数の代名詞として広く使われていました。つまり、複数の相手に対して「あなたたち」「君たち」と呼びかけるときの言葉であり、現代英語の「you」に相当する役割を果たしていました。

さらに重要なポイントとして、「ye」は主格(Subject form)、すなわち文の中で動作を行う主体を表す形として用いられていました。現代の「you」が単数・複数、主格・目的格を問わず使える万能な形に統一されたのに対し、中世英語では話し手との関係性や格によって使い分けられていたのです。

具体的な使用例

たとえば、中世の人々は次のように言っていたでしょう。

「Ye shall not pass」(そなたらは通してはならぬ)

これを現代英語に置き換えると、

「You shall not pass」(君たちは通過できない)

となります。ファンタジー作品でおなじみのこの有名なセリフも、中世の言葉遣いでは「ye」を使って表現されていたことになります。

豆知識:「Ye Olde」の看板に隠れた誤解

イギリスの観光地などでよく見かける「Ye Olde Shoppe(古き良き店)」といった看板。実はこの「ye」、本来の中世英語の「ye」とは別物だというのは意外と知られていません。

古英語には「thorn(ソーン)」と呼ばれるþという文字があり、「the」を表すのに使われていました。ところが活版印刷の時代になると、この文字が字母セットから姿を消し、見た目が似ていた「Y」で代用されるようになりました。その結果、「þe(the)」が「Ye」と誤読されるようになったのです。

まとめ

「Y」で始まる中世の言葉といえば「ye」。現代の「you」の原型となった二人称複数の主格代名詞であり、「Ye shall not pass」のような形で使われていました。さらに「Ye Olde」表記の由来を知れば、英語の歴史の奥深さをより一層感じることができるでしょう。