結論から言えば、答えは「ノー」です。
最初の小説が古代ギリシャで登場したことを裏付ける証拠は一切ありません。小説という文学ジャンルは、私たちが想像するよりもはるかに新しい時代に生まれたものなのです。
古代ギリシャには「小説」が存在しなかった理由
古代ギリシャはホメロスの『イリアス』や『オデュッセイア』といった叙事詩、そしてソフォクレスやエウリピデスによる悲劇など、豊かな文学文化を誇った文明です。しかし、これらはあくまで韻文による詩作品や演劇であり、今日私たちが「小説」と呼ぶ散文形式の物語とは性格が異なります。
確かに、ヘレニズム時代やローマ時代には『ダフニスとクロエ』のような散文の恋愛物語(ロマンス)も書かれていましたが、これらは短い物語であり、現代的な意味での長編小説とはみなされていません。
世界最古の長編小説は11世紀の日本にあった
一般に、世界初の本格的な長編小説とされるのは、平安時代中期の約1008年頃に紫式部が著した『源氏物語』です。全54帖からなるこの壮大な物語は、主人公光源氏の生涯と愛を中心に描いた心理描写の豊かな作品で、千年前の時点で近代小説に通じる完成度を持っていたとして高く評価されています。
ヨーロッパにおける小説の誕生
一方、ヨーロッパで小説的な作品が姿を見せ始めたのは13世紀頃とされています。中世の騎士道物語や散文ロマンスがその萌芽となり、やがて18世紀から19世紀にかけて、現在のような近代小説というジャンルが確立されていきました。
まとめ
古代ギリシャは西洋文学の礎を築いた偉大な文明ですが、小説の発祥地ではありません。世界最古の長編小説は11世紀の日本に誕生し、ヨーロッパではそれから数百年後に小説が発展したのです。