1849年の10セント硬貨(ダイム)は存在しない
結論からお伝えすると、1849年(暦年)にアメリカ合衆国で製造された10セント硬貨、いわゆる「ダイム」は存在しません。
ダイムとは、アメリカの通貨における10セント硬貨の正式名称です。「one dime(ワン・ダイム)」がそのまま10セントを意味し、古くは小型銀貨として、現在は合金貨として広く流通している denominations のひとつです。
ダイムの製造が始まったのは「1849会計年度」
ここでポイントになるのが、アメリカ政府特有の「会計年度(fiscal year)」という考え方です。
当時のアメリカの会計年度は、前年の7月1日から当年の6月30日までを1年として数えます。したがって「1849会計年度」とは、1848年7月1日から1849年6月30日までの期間を指します。
ダイムの鋳造は、この1849会計年度に至るまで正式には開始されていませんでした。つまり、カレンダー上の1849年1月1日から12月31日の間に新たに製造されたダイムはない、ということになります。
ニューオーリンズ造幣局からフィラデルフィアへ
さらに重要な点として、ニューオーリンズ造幣局で鋳造されたダイムが、ペンシルベニア州フィラデルフィアの造幣局本局に実際に届いたのは、1850年1月下旬になってからでした。
このように、記録上の製造時期と現物の受け渡し時期との間には時間差があります。「1849会計年度に製造が始まった」という表現だけでは、硬貨が実際にいつ世に出たのかが分かりにくいのは、こうした事情によるものです。
「1849」の年号を持つダイムを見つけたら?
以上の経緯から、もし「1849」という年号が刻まれたアメリカのダイムを目にした場合は、刻印の誤りか、後世に作られた模造品の可能性があるため注意が必要です。
古銭の収集や鑑定を行う際は、年号だけでなく、造幣局マーク(mintmark)、デザインの特徴、重量や直径といったスペックも必ずあわせて確認しましょう。信頼できる専門業者や鑑定機関に相談することで、真贋をより正確に見極めることができます。
まとめ
1849年(暦年)に製造されたアメリカの10セント硬貨は存在せず、ダイムの製造は1849会計年度(1848年7月1日〜1849年6月30日)にようやく開始されました。ニューオーリンズ造幣局製の最初のダイムがフィラデルフィアに到着したのは1850年1月下旬のことです。「1849」の年号を持つダイムに出会ったら、真贋に十分注意してください。