パンケーキにかけるメープルシロップや、かき氷のイチゴシロップなど、私たちの生活に身近な「シロップ」。甘くとろりとしたこの液体の名前には、実は千年以上の時空を越えた言葉の旅が隠されています。今回は、シロップという言葉の語源をたどってみましょう。
原点はアラビア語の「シャラーブ(sharāb)」
シロップの語源は、アラビア語の「シャラーブ(sharāb)」にあるとされています。「シャラーブ」とは、日本語でいうところの「飲み物」「飲料」を意味する言葉です。
中世のアラビア世界では、果物の汁に砂糖を加えて煮詰めた濃厚な飲料や保存液が広く親しまれていました。これは薬用としても用いられ、当時の高度な医学・薬学の知識とともに、イスラム圏からヨーロッパへと伝えられていったのです。
ラテン語「シルプス(sirupus)」への変化
アラビア語の「シャラーブ」は、中世ヨーロッパの学術言語であったラテン語に取り入れられ、「シルプス(sirupus)」という形になりました。ラテン語では、薬剤師や医師が調合する甘い薬液を指す言葉として使われるようになります。
英語の「syrup」として定着
さらにこの「シルプス」は、フランス語の「シロップ(sirop)」などを経由して英語に借用され、「syrup」という現在の綴りで定着しました。こうして、アラビア砂漠の言葉だった「シャラーブ」は、地中海を渡り、ヨーロッパ各国の言語に根を下ろしていったのです。
日本語の「シロップ」の由来
日本に「シロップ」が伝わったのは明治時代以降とされます。当初は炭酸飲料の甘味液として輸入され、やがてかき氷やフルーツポンチ、パンケーキなど、和洋さまざまな場面で親しまれるようになりました。カタカナ語としてすっかり定着した今でも、その名前の奥には中東の飲食文化が息づいています。
まとめ
シロップの語源をたどると、
・アラビア語「シャラーブ(sharāb)=飲み物」
・ラテン語「シルプス(sirupus)」
・英語「syrup」
という流れになっています。
一杯の甘いシロップの中に、アラビアからヨーロッパ、そして日本へと続く言葉の旅路が詰まっていると思うと、いつもより少し味わい深く感じられるかもしれませんね。