結論:戦時中のニッケル硬貨には銀が含まれていました
第二次世界大戦中の1942年10月から1945年まで、アメリカ合衆国造幣局は通常とは異なる組成の5セント硬貨を鋳造していました。この硬貨は「戦争ニッケル(War Nickel)」と呼ばれ、35%もの銀を含んでいたのです。
なぜ銀が使われたのか?
戦争遂行のため、ニッケルは兵器や装甲材の製造に不可欠な戦略物資となりました。そこで造幣局は、5セント硬貨からニッケルを排除し、代わりに次のような組成を採用しました。
- 銅:56%
- 銀:35%
- マンガン:9%
マンガンは当時比較的入手しやすい金属で、硬貨の色調や耐久性を維持する役割を果たしました。
戦争ニッケルの見分け方
戦争ニッケルを識別する最も簡単な方法は、裏面のモンティチェロ(ジェファーソン大統領の邸宅)の上にある大きなミントマークを確認することです。通常のニッケルでは小さなミントマークが右側に刻まれますが、戦争ニッケルでは「P」「D」「S」のいずれかが大きく表示されます。特に「P」(フィラデルフィア)のミントマークが米国硬貨に登場したのは、この戦争ニッケルが史上初でした。
同時期の1セント硬貨との関係
また、1943年には銅も軍需に回されたため、1セント硬貨は亜鉛メッキを施した鋼鉄製(スチールセント)で鋳造されました。戦時中のアメリカでは、小額硬貨の素材が軍事需要への配慮から大幅に変更されていたことがわかります。
戦後の復帰と現在の価値
1946年以降、5セント硬貨は従来の銅75%・ニッケル25%の組成へと戻りました。しかし、戦争ニッケルは銀を含有しているため、現在でもコレクターの間で人気が高く、銀地金価値を上回るプレミアムが付くこともあります。お手元に1942年~1945年発行のニッケル硬貨がある場合は、一度確認してみる価値があるでしょう。