私たちが日常的に使う「都市」という言葉。英語では「city」と表現されますが、この言葉の背景には長い歴史が刻まれています。
英語「city」の語源
英語の「city」は、古フランス語の「cité(シテ)」に由来します。さらにさかのぼると、その起源はラテン語の「civitas(キウィタス)」に行き着きます。パリ中心部の「シテ島」などの地名には、今もこの古い言葉の名残が残されています。
「city」という単語が英語で使われ始めたのは13世紀ごろとされ、中世ヨーロッパにおいて重要な意味を持つ言葉でした。
ラテン語「civitas」の意味
古代ローマにおいて「civitas」は、ローマ市民(civis:キウィス)によって構成される共同体や、彼らが暮らす町・都市を指す言葉でした。つまり「city」の語源は、単なる建物が集まった場所ではなく、「市民の共同体」という概念にあるのです。
このため、現代英語の「citizen(市民)」も同じ語源を持ち、都市と市民が密接に結びついていることがわかります。
日本語「都市」の成り立ち
一方、日本語の「都市」は「都」と「市」という二つの漢字から成り立っています。「都」は政治や権力の中心地である「みやこ」を意味し、「市」は人々が集まり商売を行う「いち(市場)」を表します。政治機能と経済機能が集まった場所を指す言葉として、自然に定着しました。
近代日本における「市」の制度化
現代の行政区分としての「市」は、1888年(明治21年)に施行された「市制」によって制度化されました。以降、「市」は地方公共団体の一つとして法的な位置づけを与えられ、人口や産業の規模に応じて各地に設置されてきました。
このように「都市」をめぐる言葉の歴史を見ると、西洋では「市民の共同体」、日本では「政治と経済の中心地」というように、それぞれの文化の中で独自の発展を遂げてきたことが読み取れます。