古代の歴史

イシスの頭飾りとは?三日月と麦穂が持つ象徴的な意味を解説

古代エジプトの女神像に見られる頭飾りには、実にさまざまな種類があります。その中でも「イシドール(isidore)」と呼ばれる頭飾りは、名前が似ていることから「イシス(isis)」の頭飾りと混同されやすい存在です。

三日月と麦穂で構成される頭飾り

イシドール型の頭飾りは、人工的に作られた三日月を中心に据え、その周囲を麦の穂が取り巻くデザインが最大の特徴です。麦穂は豊饒(ほうじょう)の象徴とされており、大地の恵みをもたらす力を表しています。

さらに、三日月の中に星が配されることもあります。この星は光と闇を象徴すると考えられており、夜空を思わせる神秘的な意匠となっています。

このタイプの頭飾りは、エジプトの女神像、とりわけイシスの彫像や置物によく採用されている意匠です。

イシスがまとうその他の王冠

イシスはイシドール型の頭飾りのほかにも、複数の王冠を着用した姿で描かれています。代表的なものが「イヤト(iat)」と呼ばれる王冠、そしてハゲワシをかたどったハゲワシの冠(ヴァルチャー・クラウン)です。

ハゲワシの冠は古代エジプトにおいて王権や女神による守護を象徴するもので、王妃や女神たちが身につけたことで知られています。イシスがこれらの頭飾りを使い分けて表現されたのは、母性・魔法・豊穣など、彼女が司る多面的な性格と役割を反映しているためです。