トスティグはハラルド・ハードラダを王に望んでいなかった
実は、トスティグ・ゴドウィンソンはハラルド・ハードラダをイングランド王にすることを望んでいたわけではありません。
彼が真に支持していたのは、自身の甥にあたるエドガー・アシリング(Edgar the Ætheling)のイングランド王位継承権でした。
ノルウェー王との同盟はあくまで手段
1066年、前年にノーサンブリア伯の地位を追われたトスティグがハラルド・ハードラダと手を組んだのは、兄であるハロルド・ゴドウィンソン(ハロルド2世)から権力を奪い返すための戦略的な判断でした。
ノルウェー王の強大な軍事力を利用して失った領土と影響力を取り戻すこと、そしてイングランド政界における自らの立場を再構築することが、同盟の真の目的だったと考えられています。
エドガー・アシリングという正統な後継者候補
エドガー・アシリングはエドマンド・アイアンサイドの孫であり、当時のイングランドにおいて最も王室の血統に近い継承候補の一人でした。エドワード懺悔王の死後、ウィリアム征服王やハロルド2世が即位する以前には、エドガーの名が王位継承者として議論されていたこともあります。
トスティグがエドガーを支持していたことは、彼の最終的な目標が外国の君主による支配ではなく、ウェセックス王家の血を引く正当な後継者の擁立にあったことを示唆しています。
まとめ
つまり、トスティグにとってハラルド・ハードラダとの同盟は、個人的な復讐と権力回復を実現するための手段にすぎませんでした。ノルウェー王をイングランドの玉座に就かせること自体が目的ではなく、あくまで兄ハロルドに対抗するための布石だったのです。