実は、炭素による年代測定(放射性炭素年代測定)は、すべての年代の物質に使えるわけではありません。ここでは、その理由と測定できる範囲について詳しく解説します。
炭素14の半減期がカギ
放射性炭素年代測定に使用されるのは、炭素の同位体である「炭素14(C-14)」です。この炭素14には、約5,730年という半減期があります。半減期とは、放射性物質の量が半分に減るまでにかかる時間のことです。
つまり、5,730年が経過するごとに、試料中の炭素14の量は半分ずつ減っていきます。10回の半減期、すなわち約5万7,000年後には、元の量のごくわずか(約0.1%)しか残らなくなります。
測定できるのはおおよそ5万年まで
炭素14の残存量が極端に少なくなると、最新の測定技術をもってしても正確な数値を読み取ることが困難になります。そのため、放射性炭素年代測定で信頼性の高い結果が得られるのは、おおむね5万年以内の試料に限られます。
縄文土器や先史時代の遺跡、古代の木造建築など、人類の歴史に関わる年代測定においては、この方法は非常に高い精度を発揮してきました。
より古い物質には別の測定法を使用
5万年より古い物質の年代を調べる場合には、半減期のさらに長い同位体を利用した、次のような年代測定法が用いられます。
- カリウム・アルゴン法: 火山岩などの年代測定に有効で、数百万年以上前の地層の調査に活用されます。
- ウラン・鉛法: 地球最古の岩石や隕石など、数十億年規模の年代測定が可能です。
- 熱ルミネッセンス法: 土器や焼土など、過去に加熱された物質が最後に熱を受けた時期を推定できます。
- ウラン系列法: 鍾乳石やサンゴなど、放射性炭素法の適用範囲を超える試料の年代測定に対応します。
まとめ
炭素14の半減期が約5,730年であるため、放射性炭素年代測定は約5万年以内の物質にしか適用できません。それより古い試料については、半減期の長い同位体を利用した他の測定法が必要となります。試料の種類や想定される年代に応じて、最適な年代測定手法を選ぶことが重要です。