古代の歴史

世界最古の石造建築は?マルタの巨石神殿「ジュガンティーヤ」を解説

人類が石だけで組み上げた最古の建造物――その答えとして広く認められているのが、地中海中央部の島国マルタ、ゴゾ島に位置するジュガンティーヤ神殿(Ggantija Temples)です。紀元前3600年〜前3200年頃、いわゆる新石器時代に建てられたこの神殿群は、金属工具も車輪もない時代に、巨大な石塊を積み上げて造られた驚異の建築物です。

エジプトのピラミッドより古い「世界最古」の神殿

ジュガンティーヤ神殿の建立は約5500年前。これはクフ王の大ピラミッド(紀元前2560年頃)よりおよそ1000年近く、イギリスのストーンヘンジに代表的な石柱が据えられた時期よりも数百年以上も早い年代にあたります。さらに特筆すべきは、これらが地面に埋め込まれたものや洞窟内の建造物ではなく、自立してそびえる「自由立式」の石造建築として現存している点です。この意味において、ジュガンティーヤは世界最古の石造建築物とされているのです。

名前の由来は「巨人の塔」

「ジュガンティーヤ」という名称は、マルタ語で「巨人」を意味する言葉に由来します。かつてこの巨大な石壁を目にした地元の人々は、「あまりに巨大なため、巨人族が建てたに違いない」と信じていたと言われています。実際、一部の石材は20トンを超える重さがあるとされ、当時の技術でどのように運搬・積み上げられたのかは、今なお多くの謎を残しています。

二つの神殿からなる複合施設

遺跡は、共通の外周壁に囲まれた南神殿と北神殿の2棟で構成されています。それぞれが多弁形(クローバー状)の中庭を持つ独特な平面プランを備え、祭壇や動物を描いた浮き彫りなど、宗教儀式に関わるとみられる遺物も発見されています。また、壁体には硬いサンゴ石灰岩、内部の装飾部分には柔らかく加工しやすい別種の石灰岩が使い分けられており、素材の特性を理解した高度な建築技術もうかがい知ることができます。

ユネスコ世界遺産への登録

ジュガンティーヤ神殿は、マルタ島のハジャイム神殿やムナイドラ神殿などとともに「マルタの巨石神殿群」として、1980年にユネスコの世界遺産(文化遺産)リストへ登録されました。先史時代の巨石建築としては世界的にも極めて貴重な存在であり、「人類の創造的才能を表す傑作」として高い評価を受けています。

まとめ

世界最古の石造建築といえば、マルタ・ゴゾ島のジュガンティーヤ神殿です。紀元前3600年頃という途方もない昔に建てられながら、5000年以上の時を経て今なおその姿を留めるこの神殿は、新石器時代の人類が持っていた卓越した技術力と深い信仰心を物語る、まさに奇跡的な遺産だと言えるでしょう。