古代の歴史

アステカ人が農耕に使った道具とは?コアとトラトルの秘密

アステカ人の主な農具「コア」とは

アステカ帝国では、農業が社会の基盤となる極めて重要な活動でした。その中核を担っていたのが、「コア(coa)」と呼ばれる掘り棒です。

コアは、木や骨で作られた先端が尖った棒で、長さは約60センチメートル(約2フィート)ほどでした。農民たちはこの道具を使って固い土を砕き、耕し、種をまくための穴を開けていました。金属製の道具が存在しなかった当時のコロンブス以前の中米において、シンプルながら実用性の高いコアは、トウモロコシや豆、カボチャといった主要作物の栽培に欠かせない道具だったのです。

除草や耕作に使われた「トラトル」

もう一つの代表的な農具が、「トラトル(tlatl)」と呼ばれる鍬(くわ)です。これは木製の刃に長い柄を取り付けた構造を持つ道具で、畑の雑草を取り除いたり、作物の根元の土を柔らかくしたりする作業に活用されました。

コアが種まきや土起こしに適していたのに対し、トラトルは作物の生育期における手入れ作業を担当するなど、両者は役割を分担しながらアステカの農業を支えていました。

高度な農業技術を支えた道具たち

こうしたシンプルな道具に加え、アステカ人は「チナンパ」と呼ばれる湖上の浮き畑など、高度な農業技術を発展させました。鉄器を持たない文明でありながら、石や木、骨を巧みに加工した道具と優れた知恵を組み合わせることで、首都テノチティトランを抱える巨大都市の人口を養う食料生産を実現したのです。